アフター・コロナ。お金に関する相談先を間違えないために。

いろんな方向

FPの資格試験では、FPと隣接する他の資格業との境界について学びます。コロナ禍の影響が懸念される今その内容をご紹介するのは、経済的問題が絡むなら適切な相談先を選ぶべきだと思うからです。自治体での相談窓口は、場合によってはとても質が悪いことがあります。

1. 自治体の窓口を過信しない

私自身が最近、自治体の相談窓口で嫌な思いをしました。私の一件については不快というだけの話なんですが。

知人の知人の相談を聞いてみると、FPから見て不適切だと思われる対応がありました。
お金に関する対応で実害を被るとなると話は深刻です。

生活保護申請を受け付ける窓口が使える制度を案内しなかったり、DV窓口がお金に関する権利を放棄するような案内をしたりです。

詳しい実例は後述します。

2. FPから他のエキスパートをご案内できます

お金に関する制度や法律、それらに携わる資格は様々です。
ここで挙げるように、昔からある弁護士などの他資格には、「この資格保有者しか取り扱えない」という定めがあります(独占業務)。

FPであるだけでは、これらの有資格者しか出来ない業務を行うことはできません。
他の資格の独占業務に、FPが知らずに踏み込んでしまうと、法律違反になりかねません
ですから、FPの資格試験では「FPと倫理」という項目で勉強します

別の面から言えば、FPは「この方面は○○という有資格者が専門で強いですよ」と案内しなければならないし、できるということです

私が聞いている話では、自治体の窓口が自分の専門でもないのに誤った情報を渡そうとしたケースがあります。
お金に関することはちゃんと責任が持てる相手に相談しましょう。

3. 弁護士との関係

弁護士でなければしてはならない範囲については、弁護士法に定めがあります。

弁護士法第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

この「法律行為」とは何を指すのかは細かくは議論が分かれるところですが、この法律があるので弁護士以外の人が弁護士の領分を侵すことには慎重さが求められます

FP資格テキストにも「FPはあくまで一般的な解説、説明に留めるように」とあります。

FPや行政の窓口などで「そこらへんは弁護士に聞いてみないと…」という人は、頼りないのではなく良識的です。
反対に、弁護士でもない相手にあまりに歯切れよく法律について言い切られた場合、本当にそうか(できれば)弁護士他の窓口にも聞いて裏付けを取った方がいいでしょう。

なお、私が聞き知る範囲では(後述します)、弁護士によっても見解は分かれるので、複数の弁護士とコンタクトを取って考え方の近い先生を選んだ方がいいと思います。

なお、「後見人」や「公正証書遺言作成時の証人」は特定の資格は必要ではありません。
FPその他でもなれます。
(「なれない」人についての規定があります)

4. 税理士との関係

FPが扱う領域に所得税や住民税についてのタックスプランニングがあります。
その他の金融商品や社会保険、民間保険、不動産の売買、相続や事業承継でも、利益(所得)があれば、税の問題が生じます。

このようにFPと税は関係が深いのですが。
税理士法には「税務代理、税務署類の作成、税務相談を業として行うことは税理士の資格がなければできない」と定められています。

なお、税理士の業務独占は無償のものも含みます(通達によります)。

【出典】国税庁:法令解釈通達 第2条《税理士業務》関係
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/zeirishi/02.htm

弁護士の場合、無資格者による無償の法律相談はあり得ますが(大学の法学部の学生が勉強のため行っていることがあります)、税についてはあり得ないことになっています。

FPも個別具体的な税の説明はできません。あくまで一般的な説明ができるだけです。

ただ、個人の家計というレベルでは、税理士とFPとの違いが問題になることはあまりないように思います。

税の申告自体は個々人が行うのが原則です。
皆さんも出来るはずなんですよ?

ただ、個人事業主や中小企業などだと、税の計算も複雑です。
経費に認められるかどうかなど微妙な判断も求められます。
このような人や企業は税理士にしてもらっても制度上OKですし、間違いなく計算できるうえ、税についての具体的な判断ができるのは税理士だけなので、税理士とコンタクトをとるべきでしょう。

一方。
たいていの個人が自分で確定申告するような場合、一般論の範疇で済むことが大半でしょう。
FPから家計にお得な節税方法の一般的な説明を聞き、それを個々のご家庭が選択するかどうか決め、実際の計算・申告を行うということになります

FPは一般論と仮定の事例の紹介はできます。
一般論に基づいて、限りなく相談者の立場に近い「仮定のケースに置き替えて」計算例を挙げることはできます…と問題集にありますw

別に個々のご家庭が税理士先生に相談してももちろん何の問題もありませんが…。
税について普通のご家庭が相談するには、オーバースペックではないでしょうか。
また、税以外の家計のお金全般については税理士の専門外です。

私が以前、税理士会の無料相談を利用したことがありますが、税理士先生はあまり「ちまちました」相談には向いていないという印象です。
(無料相談で、明るい先生だったので楽しかったですけどねw)

もちろん、判断に迷うような個別具体例は税理士先生です。
FPとして「あ、これは一般論では片付かないや」と思えば、税理士に相談するようアドバイスするでしょう。

5. 社会保険労務士との関係

社会保険労務士という資格自体、弁護士や税理士ほど親しまれていないかもしれませんが。
年金など社会保険のエキスパートです。

どちらかと言えば、企業など雇用者側のお仕事をすることが多い立場で、一般の人が接点を持つことはあまりないでしょう。

労働保険や社会保険に関する書類の作成・申請の代行を、無資格者が報酬を得て行うことは社会保険労務士法に違反します(社会保険労務士法27条)

無資格でも報酬を得ないなら行ってもいいことにはなっていますが、何の見返りも無しにこの手の業務を行うとは考えづらいので、実質は無償業務独占と変わらないのが実情です。

あと、社会保険労務士の中でも、特定社会保険労務士という資格を持つ人がいます。
これは「労働トラブルのあっせん・朝廷の手続きに関する代理業務」「労働トラブルのADR(裁判外紛争解決手続)における顧客の代理業務」ができます。
具体的にはセクハラ・パワハラなどでトラブルになったときの「話し合い」の場面です。

普通の人が、年金をはじめとする社会保険について知りたい場合、FPが解説・説明しても構いません

企業年金など、お勤め先によって制度が異なるものについては、人事給与担当部署に直接問い合わせた方がいいこともあるかもしれません。

6.不適切な相談事例

私がFPでお金関係のライターやってます、と友人に年賀状などで知らせた際。
友人から、その知り合いのご相談を受けました(特に料金をいただかず、私に分かる範囲でお答えしたレベルなんですが)。

その人の夫は、気に入らないことがあると生活費を渡さないという嫌がらせをするのだそうです。
以前には身体的暴力があり、そちらは警察の介入で収まったそうです。
この人の考えとしては、婚姻期間中の生活費の支払いを求める「婚姻費用分担請求」を使えるかどうかを迷っていらっしゃいました。

この辺の判断は弁護士の領域だと思うと私は答えました。
そのうえで、FPとしては「もし離婚するなら年金分割がありますよ」とFPから答えられる情報もお知らせしました。

その後もこの方にどうなったか(私の勉強がてら)事情をお聞きしましたところ。
婚姻費用分担請求をこの人が使うべきかどうかについては、複数の弁護士で意見は分かれたそうです。
この制度が、離婚を前提とした別居状態の夫婦について主に運用されているので、前例が少ないそうですし。
この制度を使って強硬な手段に出ることが夫を激昂させ、身体的暴力を含む被害がこの人自身に及ぶかもしれないと慎重な見解もあったそうです。

ただ、この人だって調べたそうですし、私もネットでざっと調べましたが。
別に離婚を前提とせず同居でも使えないことはありません。
「婚姻費用分担請求」「同居」で検索すればすぐ弁護士による説明が出てきます。

ところが。
この人の住む自治体のDV窓口に相談すると。
相談員が「この制度は離婚しようとする人のためのもの。あなたには関係ない」と言ったのだそうです。
この人が弁護士にアクセスせず、自治体の窓口の間違った情報を鵜呑みにしていたら、使える権利も使えなかった恐れがあります

また。
この人と面談した自治体の心理士の発言には、FPとして大いに反論したいです。

この人が離婚を躊躇うのは経済的な事情によります。
この人が自治体の女性相談のカウンセラーに「財産分与や年金分割など総合的に考えて身の振り方を決めたい」ということを言ったところ。
心理士いわく「ダメダメ。法律的には権利があるお金かもしれないけど、そんなものを当てにしていてダメ。あなたはこれから貧乏をするのよ。そのための心の強さをこのカウンセリングで鍛えていきましょうね」と。

財産分与は裁判次第なので不確定要素が大きいです(また、弁護士が回答すべき領域でFPからは何とも言えません)。
しかし、年金分割は確実に貰えます(時効前に手続きすれば)。金額的には大したことなくても終身というのはメリットです。
この年金分割については私自身がアドバイスしたものですから、ここを心理士(お金のこと何も知らない立場じゃないですか!)に否定されたのは、私自身が腹立たしいです。
FPとして声を大にして言わせて頂くと、貧乏にはなるものではありません。なってしまうことも全力で回避すべきです

この人はちゃんと弁護士に相談し、複数ある見解の中から自分に合ったものを選び、年金分割の時効についても頭にインプットして、経済的には実害を被らずに済みました。
一応、私も年金分割についてはお役に立てたかと思います。

でも、自治体の窓口って相談する意味ありましたかね?
FPという仕事をディスられたようで、気分が悪いです。

自治体の窓口による二次被害は近年問題となっているようです。

また、生活保護でも「水際作戦」の問題があります。

【参照】wikipedia:生活保護問題
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E5%95%8F%E9%A1%8C

まとめ

自治体の相談窓口を過信するべきではありません。
お金のことを良く分かっていない人が、あなたの経済的な権利を損ねるようなことをアドバイスしたりすることもあります。

FPは隣接する他の有資格者についても学びます(他の資格の独占業務を侵さないため)。
FPとしてお金全般に知識があり(そのはずです)、相談に応じてより専門的な有資格者を案内できます。

あなたの経済的不利益になるようなことを言われたら、相手を変えて複数の人に相談するべきだと強く申し上げたいです。

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