損害保険「保険価額」「保険金額」の違い。問題となる「比例てん補」とは?

家のバランス

損害保険には「保険価額」と「保険金額」と一字違いで異なる意味の用語があります。さらに言えば「保険金」も少し違います。そして保険金の思わぬ落とし穴となる「比例てん補」の問題があります。古い保険に入っている人は要注意ですし、FP受験でも出題されます。

1. 保険金が予想より少ない?

大雑把に言えば、損害保険は、「価値のあるモノに保険を掛け、そのモノが損害を受けたら保険金を貰う」ものです。

生命保険との違いはなんでしょうか?
生命保険では、人間の命や健康という数値に置き換えられないものを対象とするので、客観的な金額が定められません。

だから、生命保険や医療保険では好きな保険金を設定できます。
死亡保険金は1000万円でも1億円でも構いませんし、
入院保障が日額5000円でも1万円でもOKです。

この金額をもとに、事前に「この場合なら○○円の保険金がおりる」と予想もできますし、場合によっては「得をした」ということも起こります。

それに対し。
損害保険ではモノの値打ちが具体的な金額で把握されます

火災保険では家の値段が、自動車保険では車の値段が金額で決まっていますよね。
(この金額の決め方に「新しく買った場合(再調達価額)」と「古くなった現状の場合(時価)」の2つの考え方がありますが、ここでは割愛します)。

そして、損害保険には「利得禁止の原則」があり、実際の損害額以上の保険金を受け取ってはならないことになっています。
でないと「焼け太り」という事態が起きかねませんから。

客観的に見て100万円のモノには、100万円以上の保険金は下りないのです。

それも、損害の程度が「半分しか壊れていない」場合で損害額が50万円なら、50万円分の保険しかおりません。
しかも、契約の内容が「比例てん補」だともっと少なくなります

この「比例てん補」。
知らないと「え?なんで?」と思いがちですし、FP受験でもよく問題となる事項です。
新しい保険では少なくなってきましたが、古い保険契約に残っていることもあります。
保険によっては今でも残っていることもあります。

実は、我が家でも、夫が昔に契約していた古い火災保険が今でも残っていて、それがどーも「比例てん補」らしいと発覚したばかりです。
損害保険はモノを購入したりローンを組んだりしたときに、それをきっかけとして加入することが多いものです。
そして、他の重要事項に取り紛れてしまって、そのまま放ったらかしにしてしまいがちに…。
保険は、時々点検が必要です。

まとめると。
損害保険における保険金は、保険の対象よりも高額になることはなく、損害に応じて決まる上に、比例てん補ではさらに低額となるのです。

2. 「保険価額」と「保険金額」の違い

保険価額」と「保険金額」は1字違うだけですが、意味が異なり、この違いが後述の「比例てん補」の説明に重要となります。

大雑把に言えば、「保険価額=客観的なモノの値段」で「保険金額=契約で決める金額」です。

先も述べたように、損害保険には利得禁止の原則があり、対象となるモノの客観的な価値は大きな問題です。
この大問題な「客観的なモノの価値」が「保険価額」です。

そして、「保険価額」以上の保険金が支払われることはアリマセン。

一般に「保険価額」の説明は、やや回りくどい言い回しであることが多いです。
「保険事故が発生した場合に被保険者が被る可能性のある損害の最高額」などです。
要は、モノの価値の金額より大きな損害は起こりませんよ、ということです。

一方、「保険金額」とは「保険をいくらかけるか」という金額です。
契約時に決める金額です。
保険価額が2000万円のモノに対して、1000万円の保険金額をかけるということも起こります。

「保険価額」と「保険金額」の大小の組み合わせには3つあります。

  • 「超過保険」…保険金額が保険価額よりも大きい場合
  • 「全部保険」…保険金額と保険価額が同額の場合
  • 「一部保険」…保険金額が保険価額より小さい場合

「超過保険」と「全部保険」では、実際に受けた損失額分、保険金が支払われます。
これを「実損てん補」といいます。

しかし、「一部保険」では、実際に受けた損失よりも受け取れる保険金の額が小さくなってしまうのです。これを「比例てん補」といいます。

※なお、保険金が予想以上に小さいという問題は超過保険では発生しませんが。
超過保険で保険価額以上に保険料を払っても、より多く保険金を受け取ることはありませんので。
保険料を無駄に支払ってしまうという問題は起こります

3. 「比例てん補」の考え方

「比例てん補」とは、保険価額と保険金額の割合に比例して保険金額が減ることです

200万円のモノに偶然の事故が起きて損失額が100万円となったケースを考えてみましょう。

保険金額100万円しかかけていない「一部保険」では、
支払われる保険金は「保険価額における保険金額の割合」=100万円/200万円=1/2となります。
100万円の損失に対し、保険金は比例てん補では50万円となるのです。

全部保険や超過保険では実損てん補なので100万円です。

なんでこんな仕組みになっているのか。
公的なソースをみつけられませんでしたが、保険を扱っている人のサイトや知恵袋で見かけた説明として以下のようなものがありました。

「一部保険」では保険金に合わせて格安の保険料負担です。
なのに、「全部(超過)保険」で保険料を負担している人と同じ保険金を受け取るのは不公平だからという説明です。

公のソースが見つかれば、ここでも補足しますが、私としては納得のいく説明です。
FP受験テキストや、損害保険協会など公的ソースでは「なぜ?」という説明がなくて、ただただ暗記するのがしんどかったので、このような説明が見つかって私はラクになりました。

このような説があると念頭に置いておくと、イメージしやすく覚えやすいのではないかと思います。

4. 火災保険における「比例てん補」

比例てん補では、保険価額を分母に、保険金額を分子にした割合を用います。

これが原則なのですが。
火災保険では分母を小さくして完全な比例払いより緩やかとなる措置が取られています。

FP受験テキストによれば80%をかけるとされています(※日本損害保険協会のサイトによると、必ずしも80%とは限らないそうですが)。
分母の保険価額に80%をかけることで、分母が小さくなり、全体の割合が高くなります。

保険価額2000万円の家が半焼して損失額が1000万円の場合、
保険金額1000万円の部分保険でも
損失額1000万円に対して、1000万円/(2000万円×80%)=1000/1600=5/8の割合です。
(完全な比例払いだと1/2なので、それより緩やかになっているんですね)

火災保険では、保険価額の80%以上なら一部保険でも実損払いとする規定があったりもします。

なお、比例てん補の火災保険は少なくなり、今の新しい損害保険商品では実損払いという契約が多くなっているそうです。
【出典】日本損害保険協会
http://soudanguide.sonpo.or.jp/home/q056.html

とはいえ。
住宅購入時に加入してそのままになっている古い火災保険だと、比例てん補のおそれがあります。

5. まとめ

実は、我が家が転勤前に住んでいて今は人に貸しているマンション、その火災保険が比例てん補の可能性があると判明しました!

私がFPの資格を取る前、それどころか結婚前に夫が購入したものです。

ちょっと前に夫に「火災保険どうなってるの?」と尋ねた時は「さあ?どこも入ってへんのとちがうかなあ?」なんて曖昧な返事でした。
つい最近になって「ローン組んだ時の火災保険があるかも」と言い出したのです。うーん。

こんな感じでノーマークになっている保険、あなたのお宅にもありませんか?
保険って一度入ると、日常の生活に追われて振り返ることがあまりないままになってしまいがちです。

とりあえず、火災保険や自動車保険などが比例てん補になっていないかどうか、比例てん補なら保険金はいくらになるのか確認しておきましょう。

我が家が火災保険を見直したら、このサイトで「やりくり体験記」としてご報告しますね!

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