雇用保険(高齢者雇用継続給付など)と年金。60~65歳は複雑です

60歳

60~65歳という年代、「高齢者」かそうでないか、どちらだと思いますか?一昔前はリタイアするのが一般的でしたが、今後は、今後は勤労者として働き続けることが期待されています。2019年の「今」は過渡期なので社会保険が複雑です。

1. 今後、原則として高齢者は65歳からとなります

社会保険で、現役世代か否かが問題となるのに、雇用保険と年金保険の老齢給付があります。

雇用保険は働きたいのに働けない人を助けるためのもので、大雑把に言えば現役世代のためという性格のものです。

年金の老齢給付は、リタイアして収入が乏しい世代に生活保障をするためのものです。

さて。
60歳~65歳という年代は、どちらの社会保険でどのように取り扱われるのでしょうか。

後で述べるように大筋では65歳をめどに現役・リタイアの境目があります。

ただ、ちょっと前までその境目は公式非公式問わず60歳だったものですし、今でも一律65歳とするのはムリがあります。
そこで、この世代には経過措置などが設けられているのです。

1.1 年金保険は65歳から支給されるのが原則

年金保険の老齢給付は65歳からというのが原則です。

しかし、一昔までは60歳から支給されていたものでしたが。

1985年に65歳から支給開始と受給開始年齢の引き上げが決まりました。

後で述べるように、一定の年齢の人には経過措置として65歳未満でも年金が支給されることになっています(特別支給の老齢年金)。

これとは別に、65歳から原則支給開始という原則の下でも、個人的に受給開始年齢を上下5歳、繰り上げたり繰り下げたりすることは可能です。
繰り上げについては1月繰り上げるごとに0.5%減、繰り下げについては1月ごとに0.7%増と年金額が変わります。

減額になっても健康上の理由から早く貰いたい人などは繰り上げ受給を選べますし。
長生きすることを見越して増額される繰り下げ受給を選ぶこともできます。

ただ、再度言いますが、これは65歳支給が原則という制度の中で、個人的に選択するものです。
何もしないでいると、65歳からということになります。

1.2 雇用保険も65歳まで一般の被保険者

雇用保険の方は、65歳までが一般の被保険者です
高卒で働く18歳も、還暦過ぎても働くシニア世代も同じ「一般の被保険者」という括りです。

自己都合退職の場合、年齢にかかわらず、勤続年数で求職者手当の基本手当(いわゆる失業保険)の給付日数が決まります。

どの年齢でも、会社都合の退職だと給付日数が手厚くなります(特定受給資格者)。
この特定受給資格者は年代によって給付日数が異なります。

60歳以上65歳未満では、勤続年数1年未満90日、5年未満で150日、10年未満で210日、20年以上で240日です。

求職者手当の対象の中に「高年齢求職者」というのがありますが、これは65歳以上を指します
一般被保険者への給食給付金(失業保険)と異なり、高年齢求職者給付金は一時金として給付されます。

※一般被保険者の場合は4週間に一度ハローワークに出向いて失業の認定を受けて、その都度もらいます。
高年齢求職者ではこれがありません。

一般被保険者の場合、再就職すると「再就職手当」というものが支給されます。

基本手当の受給資格のある人が、早く就職を決めた場合に一時金を支給することで、再就職へのモチベーションアップを図るものです。

基本手当の給付日数を多く残して早期に就職するほど「再就職手当」はお得です。

支給残日数が3分の2以上なら基本手当の残りの70%、3分の1以上なら60%が支給される仕組みです。

後で述べるように、60から65歳の人もこの「再就職手当」を貰えるのですが。
ただし、高年齢雇用継続給付も受けられる場合は、継続給付の方を受けます(再就職手当はナシ)。

2. 現状に合わせた社会保険の仕組み

現役世代として雇用保険の一般の被保険者となるのは65歳まで。
リタイアしたとして年金保険の老齢給付を受けられるのは65歳から。
そう考えるとスッキリしますが。

2019年現在には例外的な扱いもあります。
少し前まで60歳が「高齢」の区切りであり、その名残もあるからです。

2.1 年金支給60歳から65歳引き上げに伴う移行措置

先も述べたように、1985年に年金の受給開始年齢が引き上げられました。

とはいえ、年金は老後の生活の大きな柱。
いきなり受給開始が引き上げられてはたまったもんじゃありません。

私たちだって65歳から年金が受け取れること前提に老後資金を考えているのに、お上の都合でいきなり70歳に引き上げられたら困りますよね。

また。
この1985年の頃というのは、還暦を過ぎていれば立派なおじいちゃん扱いだったりもしたのです。

実は、この頃、私の父が一度目の勤め先を55歳で定年になっています。
当時でも少数派ではあったのですが、大手企業でも55歳が定年だった時代もあったのです。

こういった社会的背景もあり、実際に該当する人の老後の生活が混乱しないよう、受給開始年齢引き上げは長い、ながーい時間を掛けて行われており、今も行われているのです。

2019年現在でも一部の人は、厚生年金に該当する部分を65歳になる前から受給しています。

このような、60歳から65歳へ引き上げるための経過措置として支給される老齢年金を「特別支給の老齢厚生年金」といいます。

当サイトでも、以下で詳しーく述べております。
FP受験生泣かせ「特別支給の老齢厚生年金の年齢」を超具体的にまとめました!
https://kurashiwomawasu.com/fpstudy/pension-special/

2.2 60歳以降賃金が下がるケースが多いという現実

雇用保険に関する領域でも、お上が「65歳から高齢者ね」と呼びかけたからといって、そう単純に現役世代がが増えるわけではありません。

法律で義務付けられたので、65歳までの雇用そのものは守られるのですが。
賃金については低下することが多いとされています。

60歳を一区切りとして、会社との関係も再就職・勤務延長・再雇用などと変わることも多いですし。
それに伴い、賃金も低下するケースが多いのです。

だからといって、この年代の人が「賃金減るなら、もう仕事辞めようかな」と意欲を失っては困るので。
高年齢雇用継続給付というものがあります。
賃金が下がった分、国が雇用保険で支給してくれるのです。

このうち、高年齢雇用継続基本給付金は、一度も基本手当(失業保険)を貰わずに働き続けた人のためのものです。

賃金が60歳時点から75%未満に下がると支給されます。
下がる程度に応じて支給額が増え、最大、現在貰っている賃金の15%です。
(減る前の賃金の15%ではありません。FP試験に頻出します)

一度、失業して基本手当を受給し、その後再就職した人には、高年齢再就職給付金がもらえます。

前者と同じく、60歳時点の給与の75%未満で支給されます。
金額は高年齢雇用継続給付基本給付金と同じです。

3.60歳から65歳まで考えられ得る社会保険は3種類

2019年現在、条件に当てはまる人は、
特別支給の老齢厚生年金、働き続けていれば高年齢雇用継続給付、失業して再就職すると高年齢再就職給付(これの要件を満たさなくても、一般被保険者の再就職手当がもらえる可能性も)がもらえます。

ただし、これらをそれぞれ満額もらえるようにはなっていません。

2.1 雇用保険では再就職手当と雇用継続給付金

60歳から65歳の年代の人で、一度失業して基本手当を貰った場合。

一般の被保険者(65歳まで含むのでしたね)として再就職手当の支給対象となります。

さらに、条件によっては高齢者雇用継続給付金の再就職給付の対象となることもあります。

先に述べたように、両方の対象となる場合は高齢者雇用継続給付金の方を貰い、再就職給付はもらえません

一般に、高齢者雇用継続給付の対象になる方が、条件が厳しく、支給額も大きいものです。
高齢者雇用継続給付金の方がお得なことが多いと言えます。

2.2 雇用継続給付金と年金が受けられる場合には?

雇用保険との関係を見る前に。

2019年現在、厚生年金の老齢給付を貰っている人は、働いていると賃金によっては年金額が減額されることがあります

1月当たりの年金額(基本月額)と、会社からの給与の月額(正確には総報酬の一月あたりの標準報酬月額)が28万円を超えると減額の対象となります。

在職老齢年金といいます。

「働いて収入があるなら、リタイアした人向けの年金は減らしてもいいよね?」という趣旨なのかもしれませんが、2019年現在、シニア世代の就労意欲を削ぐ制度だと批判されています。

会社から受け取る給与でなくても、やはり収入となる雇用継続給付金についても、年金と重ねて受け取る場合には減額となります

上記の在職老齢年金に加え、賃金の最大6%が減額されます。

【参考】日本年金機:構雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/koyou-chosei/20140421-02.html

まとめ

60歳から65歳は、一昔は立派な高齢者でした。
しかし、今では現役の働き手だと考えられています。

とはいえ、年金の給付年齢をいきなり上げるわけにはいかず、2019年現在でも昔の60歳支給開始の制度からの移行措置が行われています。

また、60歳を超えると賃金が下がるケースが多いので、その分、雇用保険から給付があります。

60歳から65歳は制度が複雑で、複数の社会保険を受給する人もいますが、金額は調整されます。

FPの受験生にとってもややこしい箇所ですが。
お読みいただいた方にも、大まかながらイメージを掴む一助となれれば嬉しいです。

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