コロナで収入減。扶養になれるか?社会保険について解説(一般編)

家系図

サラリーマンなどに扶養される人には保険料の負担がありません。このような被扶養者として認めらえるかどうかには条件があります。収入は年間130万円未満であることや、一定の続柄にあることなどです。収入減になったらすぐに誰かの扶養に入れるかは場合によります。ここで規定を把握しておきましょう。

1. 収入要件で主要な「130万円未満」

「扶養に入る」条件で最もよく知られているフレーズが「130万円未満」でしょう。
パート主婦が意識する「130万円の壁」が有名ですね。

パート主婦と扶養については以下の過去記事にまとめています。

コロナで収入減。扶養になれるか?社会保険について解説(パート主婦編)
社会保険の被扶養者となると、社会保険料の負担をしなくて済みます。被扶養者として認められるかどうか要件の一つが「収入」です。じゃあ、パートでの収入が減ったら夫の「被扶養者」になれるのか? 理屈の上ではなれますが、実務の上では「すぐに」といかな...

健康保険は配偶者以外も条件を満たせば被扶養者となります(年金の3号被保険者は配偶者だけです)。

同一世帯なら、収入要件の原則は「年間収入が130万円未満かつ加入者本人の年間収入の2分の1未満」です。
この年間収入とは「今後1年間の見込み」です。

60歳以上または障害者がある人の場合は130万円ではなく180万円未満となります。

同一世帯でない場合、後半の部分が「仕送り額未満」となります。

健康保険の「被扶養者」になるには、加入者本人の健康保険(組合)に届け出ます。
最終的な判断は、その健康保険(組合)によります

健康保険(組合)によって細かい規定が異なることもあります。
また、協会けんぽのサイトには、上記の原則が「実態と著しくかけ離れており、かつ、社会通念上妥当性を欠く」場合には、具体的事情を考慮して認定すると記載されています。
つまり多少の幅はありえます

【参考】全国健康保険協会(協会けんぽ)被扶養者とは?https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3163/1959-230/

ただ、この記事ではまずは原則を把握しておきましょう。

1.1 収入の範囲は幅広いです

社会保険の「扶養」かどうかを判断する材料となる「収入」。
この「収入」の幅は広いです。
所得税の課税対象とは異なります。

健康保険法の条文をみてみましょう。

「『報酬』とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもの」健康保険法第3条

通勤手当は税については非課税ですが、それは「非課税とする」との所得税法の規定があるからです。社会保険で問題となる「収入」には含まれます。

協会けんぽのサイトでは、「労働の対価」としてイメージしにくい「雇用保険の失業等給付」「公的年金」「健康保険の傷病手当金や出産手当金」なども収入に含むとされています。

大企業の中には独自の健康保険組合となっているところもあります。
ある健康保険組合のサイトでは、さまざまな収入を列挙した上で、最後に「その他、実質的に収入と認められるもの」とダメ押ししているところもあります。
(本文中に企業名は出さないでおきます)

【参考】大手企業健康保険組合の例https://phio.panasonic.co.jp/hoken/shikumi/kazoku_kanyuu/qa_huyounintei.htm

最終的には、その健康保険の判断ですので、気になる場合は直接問い合わせるのが確実です。ただ、何を収入とするのか、その範囲は広いものだと心づもりしておいた方が無難です。

1.2 パート含め給与所得者は月額10万8334円

上記の「年間見込み130万円」は、給与収入の場合には月額で決まっています
月額10万8334円未満です。
(130万÷12月=108333.333…です)

この月額の規定については、企業の健康保険組合で実務が異なります。
たまたま1ケ月10万8334円を上回っても年間で130万円未満となることが別途証明できれば、扶養とされることが多いですが、どのタイミングで何をどう手続きするかは健康保険組合で異なります。

パート主婦については、上述の過去記事にあるとおりです。

収入が減ったからすぐ扶養に入れるとは限りません。
最終的には、健康保険(組合)の判断ですが…。

退職したり雇用契約書の内容が変更になったりした場合は、今後の年収が130万円未満であると証明しやすく、認定される可能性が高いです。
パートのシフト調整による収入減については認定しないとする健康保険組合もあります。
(詳しくは上記過去記事をご覧ください)

1.3 自営業やフリーランス

もともと自営業だったり、最近起業したとかフリーランスだったりする場合は、年間で見ます。

収入について、協会けんぽでは「自営業者についての収入額は、当該事業遂行のための必要経費を控除した額」としています。
「確定申告書の写し」などで証明します。

他の企業の健康保険組合でも、収入から「直接的必要経費」を引いたものを収入として考えることが多いです。

直接的経費として何を認めるかは、最終的に各健康保険(組合)の判断です。

以前、Webライターの仕事で調べたことがありますが…
直接的経費の分かりやすい例が「ケーキ屋さんにとっての小麦粉と卵」のように原材料などです。
水道光熱費は条件によって経費となることもある一方、広告費や接待費は直接的経費にならないことが多いですね。

このWebライターの仕事で調べた時には、「個人事業主」であるならば「自身で生計を維持できている」と判断し、扶養として認めないところもありました。

他のライターさんの記事でも「珍しい」ケースとされていましたが…。
私がこの記事を書くにあたって、2020年4月現在その健康保険組合のサイトを再度チェックしても変更はありません。
社名は出しませんが、このようなところもあるので念のため各健康保険組合によって違いがあるのだということは念頭に置いておきましょう。

2. 被扶養者になれる続柄の範囲

健康保険の被扶養者になる人には一定の範囲があります。
後で述べるように、一般に「家族」という言葉でイメージできる人は同居でなくてもかまいません。
それ以外の親戚は同居が条件です。

2020年(令和2年)4月1日以降は、扶養の認定について、日本国内に住所があることが要件となりました
具体的には住民票がある、ということです。

留学や海外赴任については「日本国内に生活の基礎があると認められるものについて」例外的に認めるとされています。

これを「国内居住要件の例外」=「海外特例要件」といいます。
具体的には下記のリンクをご覧ください。

【出典】日本年金機構:従業員の家族が海外居住の場合の手続き
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/kyojuyoken.html

2.1 同居しなくてもいい人

以下の、比較的身近な関係続柄の人は同居しなくても扶養として認められます。

  • 配偶者
  • 親や祖父など直系尊属
  • 子ども、孫
  • 兄弟姉妹

「え?兄姉も同居してなくていいの?」とお思いの方。
兄姉については平成28年(2016年)から同居要件がなくなっています。

【出典】日本年金機構「健康保険等の被扶養者認定の同居要件が一部変更になります」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2016/0516.files/20160516.pdf

これらの人は、同居しなくても良いのですが、別居しているなら上述の「収入額が仕送り額未満」という収入要件が大事となります。

2.2 同居が必要な人

「3親等内の親族」まで、扶養として認められます。
「おじ・おば」「甥・姪」とその配偶者も「3親等内の親族」なので、意外に範囲は広いです。

ただ、2,1で挙げた「配偶者・直系尊属・子や孫・兄弟姉妹」以外は「同居」が必要です

ご縁が薄くとも、一緒に暮らしているという意味では「家族」であることが大事です。

健康保険によって具体的な手続きは異なりますが、住民票などで確認することがあるようです。

協会けんぽについては、「日本年金機構」が確認することになっています。

被保険者と扶養認定を受ける方との同居の確認については、日本年金機構で確認を行うため、原則、書類の添付は不要ですが、確認できない場合には、別途、住民票の提出を求めることがあります。

【出典】日本年金機構:健康保険(協会けんぽ)の扶養にするときの手続き
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20141204-02.html

まとめ

健康保険の扶養として認定される原則をご説明しました。
多くの人にとって「今後の年収が130万円未満」というのが主な要件でしょう。

この収入について、社会保険では税より幅広いことを押さえておきましょう。
パートなど給与収入は月収で見ます。月単位で収入が増減した場合にどう取り扱うかは、各健康保険(組合)によって細かな違いはあります。

2020年4月現在、コロナ禍で減収になるということで扶養になれるかご心配な方、退職や雇用契約の変更なら可能性は高いです(詳しくは過去記事をご覧ください)。

自営業やフリーランスは、年収見込みで見るのが原則です。
経費について個々の健康保険(組合)で異なるので、今後、扶養の認定を受けようとする場合は確認しておきましょう。

扶養とされる続柄は、親や祖父、配偶者、子や孫、兄弟姉妹なら同居していなくても認められます。

それ以外にも同居していれば、3親等内の親族が認められます(以外に広いです)。

社会保険料の負担は重いものです。
扶養に入れれば助かりますが、その分その健康保険(組合)の負担ともなり得るので、扶養に認定されるには要件を満たす必要があります。

今後、扶養に入るかもしれない人は、まず原則と、それから個々の健康保険(組合)の規定をよく把握しておきましょう。

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