コロナで収入減。扶養になれるか?社会保険について解説(パート主婦編)

給料袋

社会保険の被扶養者となると、社会保険料の負担をしなくて済みます。被扶養者として認められるかどうか要件の一つが「収入」です。じゃあ、パートでの収入が減ったら夫の「被扶養者」になれるのか? 理屈の上ではなれますが、実務の上では「すぐに」といかないこともあります。

1. 社会保険の「被扶養者」の原則

夫がサラリーマンで、勤め先で厚生年金や健康保険(組合)に加入している場合、妻がその扶養家族として認められると、その社会保険の保険料の負担をしなくてもよくなります。

この扶養という考えは、国民年金や国民健康保険にはありません。

夫の勤め先の社会保険から「被扶養者」として認められる条件の一つに「収入要件」があります。
「年間130万円未満かつ夫の収入の2分の1未満」というのが一般論の教科書的な説明ですが…

後述のように「収入要件が満たせそうならすぐ扶養に入れる」とは実務の上ではいかないことがあります。

※なお、健康保険の扶養では一定の親族は同居しなければならない要件がありますし、年金については配偶者しか3号被保険者になれません。
ここではパート主婦が夫の扶養に入れるかどうかを問題にしますので、一般的な収入要件以外については割愛します。

2. 「年間130万未満」か「月額10万8334円未満」か

「年間130万未満」という原則は、「『今後の』年収の見込み」です。
所得税の対象が、前年に確定した金額であることとよく対比されます。
また、交通費など所得税では非課税でも、社会保険に関しては収入とされるなど、収入の範囲も注意が必要です。

「年間130万円」という規定が良く知られていますが(「130万円の壁」などと言われます)

ただ、正確には、妻がパートなどの給与所得の場合「月収10万8334円未満」が条件となります。
この10万8334円未満というのは、130万÷12月=108333.333…となるからです。
「月収が10万8334円未満でないと年間で130万円超えるよね?」というワケです。

自営業やフリーランスなら「年間130万」なのですが、見込みが立ちやすい給与収入では月単位となります。

3. 実務上の判断は、夫の加入している健康保険で異なる

健康保険と年金は一緒に手続きします。
夫の扶養に入る手続きは、夫が加入している健康保険(組合)に対して行います

そして、夫の健康保険によって微妙に規定が異なることもあります。

「協会けんぽ」では、「給与所得等の収入がある場合、月額108,333円以下」とあるだけですが。

【出典】協会けんぽ:「健康保険(協会けんぽ)の扶養にするときの手続き」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20141204-02.html

他の健康保険(組合)では、細かく説明されていることもあります。

給与収入1月10万8334円の基準について「1ケ月でも上回っていたら引っかかる」こともあれば、「3カ月の平均で見る」ところもあります。
1ケ月上回っても年間130万円以下と別途証明すれば大丈夫だったり、平均で見るけど1ケ月上回ったらその後確認を入れたりする対応もあります。

夫の健康保険(組合)のサイトがあれば、そこに説明があるので確認しておきましょう。

ちなみにここで参考にしたのは以下の健康保険組合です(企業名は文章では出さないようにしておきます)

【参考】企業の健康保険組合の事例
http://www.mitsubishielectric.co.jp/kenpo/shiori/fuyousha_hani/nintei.html
https://phio.panasonic.co.jp/hoken/shikumi/kazoku_kanyuu/qa_huyounintei.htm

4. 「収入減」で「扶養」に入れるか

原則通り、年収の見込みが「130万円未満」なら、扶養に入れる…はずです。
しかし、実務の上で、「収入減ですぐ」認められるとは限りません。

4.1 退職なら手っ取り早いです

多くの中小企業が加入している健康保険「協会けんぽ」のサイトでは「退職したことにより収入要件を満たす場合」の手続きについて記載があります。

「退職証明書または雇用保険被保険者離職票の写し」を、他の続柄要件を証明する書類などと一緒に提出します。

提出時期は「事実発生から5日以内」とされています。

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20141204-02.html

下記にリンクを記載している大手企業A社、B社も同様です。

A社のサイトのQ&Aでは、「退職日の翌日から向こう1年間の年収見込み」との記載があります。

【参考】
A社健康保険組合
http://www.nttkenpo.jp/member/outline/member_a.html
http://www.nttkenpo.jp/asp/faq/faq.asp?articleid=403

B社健康保険組合
http://www.ibmjapankenpo.jp/asp/faq/faq.asp?articleid=6245

4.2 「雇用契約書」に基づく収入減は可能性あり

「協会けんぽ」のサイトにはとくに記載はありません。
しかし、下記のように、健康保険組合ではサイトで明記しているところもあります。

大手企業のA,B社とも「雇用契約書」で収入減となった場合、そこから「今後1年間の見込み」が収入要件を満たせば「扶養」として認める旨、記載があります

最終的には、夫の健康保険の判断次第ですが…
今後の年収が130万円未満だという証拠がある場合(雇用契約書に変化がある場合)は、問い合わせて交渉してみてもよいのではないかと思います。

4.3 シフト調整による収入減は難しいかもしれません

協会けんぽ、大手企業A社の健康保険組合のサイトには特に記載がありません。

大手企業B社のサイトでは、「パート勤務の方の契約変更を伴わないシフト調整(中略)等、『状況が変わった』ことを証明する書類がない場合は『状況が変わった場合』には該当しません」とあります。

この健康保険では、状況が変わらない場合、1年の見込み年収額は「前年の年収」で推し量るという規定になっています。

シフト調整で収入が減っても、それが「今後1年の見込み年収」要件を満たすのか、証明する手段がないと、すぐに扶養と認定される可能性は低くなりそうです

まとめ

社会保険の「扶養」の収入要件は、「今後の見込み年収130万円未満」が大きな目安です。
給与収入では月額で判断されます。

細かな判断は、夫の健康保険によって異なりますが…。

退職の場合、今後の収入見込みが大幅に変わることが証明しやすく、その時点から「扶養」と認められる可能性も高いでしょう。

「雇用契約書」で減収が証明できる場合について、サイトで明記している健康保険組合もあります。
サイトに記載がなくても、問い合わせてみる余地はあると思われます。

シフト調整による減収の場合、サイトで否定的な見解を示す健康保険組合もあります。
そして、他の健康保険でも難しいのかな?と思われます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました