企業年金が確定拠出年金に変わりそう…?今までと違いは?

チェンジ

従来、企業年金は確定給付型でした。それが、続々と確定拠出型に変わりつつあります。本当は勤め先から説明があるはずですがですが…。毎日目先の仕事に追われていて、給与課や厚生課からのお知らせをじっくり読んでられないですよね。この記事では短時間でざっくり分かるようにご説明します。

1. 企業年金と厚生年金との違い

企業に勤めている人には、自営業などの人向けの国民年金以外に、上乗せの年金に加入しています。
ただ、その手厚い部分は、公的年金である厚生年金と企業独自の企業年金とに分かれます。

1.1 厚生年金は公的年金

企業勤めの人に公的年金として保証されているのが厚生年金です。
これは公的年金です。

例外的な事例を除き、ほぼ全ての企業が加入しているものです。

厚生年金保険と健康保険は、法人なら全て(社長・役員を含む)、個人事業でも従業員が5人以上で原則強制加入です。

ちなみに、FPの受験問題になりやすいのは、同じ社会保険でも、労災保険と雇用保険は法人では社長・役員を含まず、個人事業が全ての事業所である点です。

標準報酬月額によって、支給される年金額が異なります。

会社勤めなら、特殊な事情がない限り加入しているものですし。
公的なものなので制度や給付について変化があれば、新聞などで大きく報道されて騒ぎになります。

1.2 企業年金は企業独自でそれぞれ異なります。

企業年金は、その名のとおり企業が独自に設けている年金制度です。
公的年金ではなく、私的年金であり、設けていない企業もあります。

お勤めの企業が、労使間の合意もなく勝手に制度を変えることはありません。
制度が変わるなら、人事関連部門からお知らせがあるはずです…が…。

とはいえ、毎日、会議だ打ち合わせだ書類づくりだ出張だ…と通常業務で頭がいっぱいですよね。
家族のことも考えなければならないし。

人事関係部署からのお知らせを受け取っても読んでらっしゃらない方も多いのでは?
当サイトのこの記事を読んで概略を掴んで頂ければ幸いです。

一昔前の大手企業で多かった企業年金が、厚生年金基金です。
企業とは別法人で、公的な厚生年金の一部を代行して、企業独自分を上乗せする制度です。

掛金は企業と従業員とで負担し、従業員の負担は5割以下、税金は社会保険料控除となります。

後で述べるように、企業にとって運営が負担なので、代行部分を返上したり解散したりして減りつつあります。
国としても、2014年から新規設立を認めていません。

厚生年金基金がもともとないか、厚生年金基金をやめた後に導入しているものに、確定給付型企業年金があります。

正確に言えば、規約に基づく規約型と、別法人の基金で行う基金型とがあります。
基金型は、厚生年金基金と似ているように思われるかもしれませんが、国の公的年金を代行する部分はありません。

確定「給付」という名のとおり、将来の給付額が確定されたものです。
原則として、企業が掛金を負担し、運用して殖やして、確定した金額を給付しなければなりません。
積立額の不足は企業側の責任であり、その穴埋めをするのも企業です。

以上が原則ですが、規約と加入者本人の同意があれば、加入者も掛け金を拠出できます。
ただ、例外的なせいか、税法上は生命保険掛金控除の対象となります(ああ、FP試験に出題されそうw)。

企業年金の歴史については、以下が興味深いです。
【参考】金融広報中央委員会「知るぽると」企業年金って何でしょう?
https://www.shiruporuto.jp/public/senior/pension/kigyo/kigyo101.html

2. 企業年金が確定拠出型にスライド

上で述べてきたように、長らく企業年金は、企業が運用して殖やして確定した金額を給付してくれるものでした。

しかし、現在の経済状況から見て、企業が手間暇かけて責任をもって運用することが難しくなってきました

そこで、確定拠出年金を導入する企業が増えています
これは拠出額が確定しているものです。

「日本型401k」と言えば、「ああ、なんか話題になってたなあ」とご記憶の方もいらっしゃるかもしれませんね。

企業が現時点で確定した掛金を拠出するので、その掛金を加入者が運用して将来の年金としなければなりません
給付額は、加入者の運用判断によって変動します。

運用して殖やすことができるかどうか、その責任・リスクは加入者の方に移るのです。
企業としては助かるので、近年取り入れる企業が増えつつあります。

加入者にとっても、自分の取り分がはっきりしているので、転職しても自分の年金記録が持ち運びやすいというメリットはあります(ポータビリティーというものです)。

資産運用の腕に自信があって、他人に任せるより自分にやらせろ!な猛者にも向いている制度です(今の日本では少数派かもしれませんが)。

3.確定拠出型でどう変わるの?

勤め先が企業型確定拠出年金となると、加入者自身が運用を行うように求められます。

後で述べるように、選択肢が提示されるはずですが…。
多くの人は、「なんか…よくわからないから」と元本保証の預貯金を選んでいるようです。

そのことの是非は後述しますが、まずは「よくわからない」を「わかる」に変えていきましょう。

3.1 選択肢から選ぶ

運用商品は、預貯金、投資信託、保険商品などとなっています。
提示する側は必ず3つ以上35以下の商品を選択肢としてあげなければなりません。
(簡易企業型年金では2以上)

2018年までは35より多くても良かったのですが、あまりに多くの選択肢は選ぶ側に負担がかかるので、適切なものに絞り込むようになりました。
(2018年以降5年間経過措置アリ)

3.2 教育を受けられる

確定拠出年金を実施する企業は、従業員に「投資教育」をするように求められています。

実は、我が家も変化に戸惑っているところです。

先日、夫の勤め先が「選択制の企業型確定拠出年金」というのを導入していることが分かりました。
これは、ここで述べている企業型確定拠出年金より、やや変則的な制度です。
企業が出す「ライフデザイン給」を、そのまま給与として受け取ってもいいし、企業型確定拠出年金に加入してもいいし、加入者が選択できるものです。

給与明細にそんな項目が挙がったときから、妻である私が「これって何?企業型確定拠出年金になったんじゃないの?」と問い詰めても、夫は「さあ?」と要領を得ない…。

今週になって、夫が人事部から送られてきたメールを転送してきたことで、勤め先が選択制DCを導入していることが分かった次第。

そのメールは、春と秋に加入者を募るで、そのお知らせでした。
で、このメールでは、個別にFPと個別相談できるとアナウンスがありました。
12月までやっているそうです。
妻である私が受けるのが可能でしたら是非!先輩FPさんと相談したいです!

皆さんも、お勤め先で何らかの形で「投資教育」は行われているはずなので、活用してみましょう。
ただ、前にも書きましたが、そもそも普通の業務に忙殺されているから「よくわからない」ワケで…。

「夜間や休日に、スカイプかなんかで相談できる」とか、「社員研修の中で」とか、活用しやすい体制を企業の側にも整えて欲しいですね。

3.3 個人型確定拠出年金(iDeCo)との兼ね合いが変わる

確定拠出年金の掛け金には上限があります。

企業型確定拠出年金では、他の企業年金を実施している人は年額33万円(月額27500円)、他に企業年金がない場合は年額66万円(月額55000円)です。

企業型での掛金は原則事業主負担ですが、本人の同意があれば加入者からの拠出も可能です。
加入者からの拠出をマッチング拠出といいます。

マッチング拠出ができる場合も、企業側の掛金と合わせてこの上限範囲でなければなりません。
(なお、従業員の出す金額は企業の金額を越えない額と決まっています)

また、個人型確定拠出年金が2017年に対象者を大幅に拡大した中でも、企業型確定拠出年金加入者については、企業年金で個人型に加入が認められている人に場合にだけ、個人型に加入可能となっています

そして、個人型の方も、企業年金との兼ね合いで拠出額の限度があります。

全く企業年金がない会社員なら年額27.6万円、企業年金が確定拠出型のみなら年額24万円、企業型確定拠出年金があるなら年額14.4万円です。

4. 現状は「預貯金」など元本保証が多い

2019年に話題になった金融庁の「老後資金2000万円」レポート。
ここで指摘されたように、日本人は、元本割れのリスクのある投資に対して腰が重いのが現状です。

企業型でも個人型でも確定拠出型年金で選ばれるのは、元本保証の預貯金などが大半だと報道されています。

元本保証はリターンが少なく、資産寿命を延ばすという意味では、金融庁レポートの主張どおり投資性のある商品を選ぶべきとは言えるでしょう。

また、確定拠出年金って実は手数料が掛かるんですよ…。
預貯金の利子ではこの手数料分を上回ることは難しいでしょう。

手数料の金額について。

企業型については、企業側で一部負担しますし、その商品を運用してくれる金融機関ごとにそもそもの手数料が異なるので、一概には言えないのですが。

参考までに、個人型について述べると、加入すると国民年金基金連合会に加入することになるため、加入時に手数料を払います。金額は2829円です
また、口座管理手数料が加入中ずっと掛かります。金額は、国民年金基金連合会に年1236円、資産を管理する信託銀行等に年額768円です。さらに、運用を任せている金融機関にも手数料を払う場合もあります。

じゃあ、なんで企業型にせよ個人型にせよ、手数料を払ってまで加入するのか?

制度を用意した側からすると、「運用で得た利益を非課税とするから、それで手数料を上回るリターンを出してね」という主張もあるのですが。

現状、企業型(マッチング拠出)でも個人型でも、掛金が所得控除(小規模共済等掛金控除)となり、税金がオマケされるのが確実なリターンとなっています

現役世代なら所得税率もそこそこ高く、たとえば税率20%の人も多いでしょう。
この所得税率が20%の人が、確定拠出年金に年間20万円拠出したら大体4万円税がお得になります(ざっくりした考え方と計算です)。

減るかもしれない投資商品より、ほぼ増えない預貯金を選び、手数料を含めリターンは所得控除で得る…というのが、今のところは現実的ではあるんですよね…。

若い世代については、将来の年金額を増やさなければならないこと、投資に多少損をしても取り返しがつくことなどからみて、金融庁レポートの言う通り、投資性商品も少し組み入れた方がいいと思います。

老後が近くなるにつれ、リスクは取らない方向に資金をシフトするべきです。
すると、預貯金で元本確保しながら、所得控除狙いという選択が望ましいかもしれません。

まとめ

長年社会人をやってきた人には、年金制度があれこれ変わって「?」かもしれません。
普段の仕事で忙しくて、新聞などで大きく報道される厚生年金と区別がついていなかったり、企業年金について人事関係部署からのお知らせがあってもスルーしてたりするかもしれません。

ただ、確定給付から確定拠出への変化は、加入者自身に運用リスクが移りますので、この点だけは!しっかり押さえておきましょう

短期的には(そして老後が近い人には)、増えないけど確実な預貯金で、手数料分を掛金の所得控除で取り戻し、それ以上の節税効果を狙うのが現実的です。

ただ、制度本来の趣旨は、投資も含めた資産形成を促すものです。
投資はリスクもありますが、長期間時間をかけることで運用リスクが減るとされています(大損しても取り返す時間があるし、短期的に上下しても長期的なら得をする可能性も高くなります)。

まだお若いなら少しずつ投資に慣れていくのもアリかなと思います。

企業任せだった時代は少しずつ過ぎ去ろうとしています。

そろそろ「自分で年金を」と意識を変えていく時が来たといえるでしょう。

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