「公的年金」「企業年金」「私的年金」の違いとは?老後資金にどう違いがでる?

老夫婦

老後生活の大きな柱が年金です。現役時代に支払っていた保険料を老後になって受け取るものですが、3種類あります。それぞれ性質が異なり、参考すべき情報源や、受け取り時の税金が異なります。この記事では公的年金・企業年金・私的年金の3種類を概観します。老後、どの年金でどれだけ貰い、その税負担はどうなるのか計画を立てる参考になれば幸いです。

1.「公的年金」「企業年金」「私的年金」の3つの違い

公的年金は、まず基礎年金(国民年金)です。
サラリーマンの場合、基礎年金の上に厚生年金を加えた2階建てまでが公的年金です。

企業が独自に年金制度を用意してくれることもあります。
これを企業年金といいます。

入社すると同時に自動的に加入していたりすると、公的年金の一部のように感じられてしまうかもしれません。

確かに、昔は、厚生年金と一部重なる「厚生年金基金」という企業年金が多い時期もありました。
制度上や貰う立場からも、あまり公的年金と企業年金を区別する必要性は少なかったかもしれません。

しかし、今後、これらは別物だという認識が必要です。
2020年現在「厚生年金基金」の新たな設立は認められていません。
一方で、企業年金を確定拠出型にするなど新しい動きもあります。
公的年金とは異なる仕組みになりつつあるのです。
(後述します)

私的年金は、生命保険会社などの「個人年金保険」です。
あなたと生命保険会社とで契約するものです。

近年話題の個人型確定拠出年金(iDeCo)は、加入するしないは個人の自由です。
公的年金は、「制度」であって、個人の意思で決められませんから、この意味では個人型確定拠出年金(iDeCo)は公的年金ではありません。
ただ、公的な機関が行っていますし、税の取り扱いも公的年金に準じます。

2.参考にすべき情報源の違い

公的年金(国民年金と厚生年金)の保険者は厚生労働省です。
また、業務運営は日本年金機構です。
何か不明点があれば、日本年金機構のサイトを見るのが一番分かりやすいでしょう。

公的年金で制度改正などのニュースがあれば、「厚生労働省」「政府」「与党」の動きとしてテレビ・新聞・ネットなどで報道されます。
日本人全体に係ることだからです。

一方、企業年金の具体的な情報は、加入している年金組合に問い合わせることになります。
そして制度改正についても、最終的にはその企業年金の組合によります。

例えば、企業年金の在り方についての一般論なら報道されます。
「厚生年金基金の新規設立は認められない」「確定拠出型が認められるようになった」「確定拠出型が増えてきた」などです。

ただ、あなたの勤め先が「昔ながらの厚生年金基金が存続している」のか「確定拠出型を導入した」のかなどの、個別具体的な情報は、あなたの企業の勤め先の担当部署からの「お知らせ」で知るよりありません。

私の夫もそうですが、普段の仕事に忙しいと人事給与課からのお知らせは無視しがちです。
今、企業年金の在り方も流動的ですから、それらのお知らせにつても留意するようにしましょう。

個人年金保険は、一般の保険と同じく、保険契約を熟知しましょう。
「勧誘員に言われてなんとなく…」はイマドキやめておきましょう。

上でも述べましたが、今は個人型確定拠出年金(iDeCo)という強力な選択肢も出来ましたし、特に老後の年金と限定しなくてもNISA(少額投資非課税制度)でお金を増やすことも可能です。

また、公的年金を全く無視して老後を想定するのも現実的ではありません。
何かと不安材料が報道されていますが公的年金の存在感もあなどれないのです(次で述べます)。

3.10年先、20年先の実質価値の変動

老後資金について考えるときに念頭に置いておきたいのが、実質価値です。
今の100万円が、10年先20年先も同じ価値があるかどうか、です。

インフレが起こって物価が上がると、100万円で買えるモノは少なく、今より100万円の価値はさがってしまいます。

日本は長い間デフレだったので、ピンと来ない人も多いかもしれません。
話を分かりやすくするのに、私独自の例えを出しましょうw
私が子どもの頃って少女漫画のコミックスは370円でした。
今は、600円、700円ざらですよね。電子書籍で安くなっても数十円程度。
物価って実は上がるものなんですよ~。

制度上、この実質価値に連動する…ことになっているのは公的年金です。
従来は物価や賃金に連動してもらえる額が決まっていました(物価スライド)
…過去形ですが、今も過去を引きずってはいます。

公的年金は、現役世代の保険料を財源とします(世代間扶養。これに加えて国庫負担や運用収入もありますが)。
少子高齢化でこの財源確保が難しくなってきたため、物価スライドに制限をかけて、年金額が上がりにくくはなっています(マクロ経済スライドなど。別記事にします)。

「上がりにくく下がりやすく」なりつつある厳しい現状ですが、かろうじて、社会の変動には合わせるということにはなっています

なので、この点は、変更があるとニュースになります。
「マクロ経済スライド」が発動したとかしないとか、報道されますでしょう?

これに対して、私的年金は契約通りのお金ポッキリです。
将来20万円×10年間=200万円給付があるという契約なら、泣いても笑っても200万円です。
その時の200万円が今の100万円くらいの価値になっても、200万円という額面に変化はありません。
(変額個人年金については後述します)

もちろん払込保険料が160万円くらいで将来200万円の個人年金保険だと40万円お得です。
今後10年、このままの物価水準なら単純に良い選択肢です。

ただ、10年先20年先というのは予測が難しいです。
普通の個人年金保険は実質価値に合わせるものではない点も考慮して、老後資金を考えましょう。

なお、変額個人年金といって、将来の受け取り額が運用次第で変化するものもあります。

私個人としては、運用は自分でやった方がコストがかからないと思うので、NISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)を考えますが…。
変額個人年金も、死亡保障については一定額保障されているので、それを重視するなら選択肢に入るかもしれません。

企業年金は、その企業年金によります
確定給付型では、企業が運用してあらかじめ決まった額を給付してくれます。
しかし、多くの企業にとって運用は負担となっています。

そこで、確定拠出型年金を導入する企業年金が増えました
保険料は決まっていますが、将来の給付についてどう運用するかは個人次第です。

節税効果が高く、それも込みで損得を考える人も多いでしょう。

3.いざ受給の際の「出口戦略」

公的年金、企業年金、私的年金の区分が問題となるのが、老後に受給されたときの課税関係です。

年金として受け取る収入はどの年金でも「雑所得」に分類されます。

しかし、公的年金と私的年金とは課税対象となる額の計算が異なります。

公的年金と企業年金は「公的年金等」として一括りです。
一定額まで非課税枠はあります
65歳で公的年金等の収入金額の合計が330万円未満なら120万円まで非課税です(2019年現在)。

私的年金の収入は「その他の雑所得」です。
受け取る年金収入から、その年分の必要経費を引きます

個人型確定拠出年金(iDeCo)は公的年金等に入ります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)も加えると、非課税枠を超えて課税対象となる場合もあります。

私的年金は、計算上非課税になることはあまりないですが、実際に計算するとそれほどでもなかったりします。

個人型確定拠出年金(iDeCo)も含めた公的年金と私的年金をどれくらいの割合で、老後の備えとするか。
これには、いざその年齢になったときの収入に対する所得税・住民税についても把握しておいた方がいいです

なお、老後の収入(所得)が高いと、国民年金保険料・介護保険料・(後期高齢者)医療保険料などの負担が増えることもあります。
最近、高所得の高齢者にこれらの負担を求めるようになりつつあるのはよく報道されている通りです。

老後に向けてただ貯めるのではなく、貰う時の手取り(税を引いた後)や、老後にも負担する社会保険料についても把握しておきましょう。
(変化するので細かな金額まではムリですが、制度の概略は掴んでおきましょう)。

まとめ

昨年の2019年には、老後資金2000万円問題が話題となりました。

公的年金で100%足りるわけではないのは確かです。
ただ、実質価値の維持まで視野に入っているのは公的年金の強みです。
↑これが従来ほど機能しなくなるのが問題なのですが…。

企業年金は勤めていると自動的に入っていることが多く、意識することが少なかったかもしれません。
ただ、老後資金を過剰に不安視する前に、いくら貰えるのか会社の規定を把握しましょう。

確定拠出型年金になると、運用の責任は個人です。
そこで企業年金について能動的なかかわりが求められるようになるでしょう。
節税や運用などのメリットを知って活用したいところです。

私的年金は、よりよい老後に備えるためのものです。
保険料と受取額との差が大きくて魅力的なものがあれば選択肢となります。
ただ、長期的な実質価値を維持するものでは、最初からありません。

変額個人年金という保険商品もありますが、自分でNISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)で投資・運用することもできますから、それぞれの仕組みを比較してから検討しましょう。

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