勤め先の健康保険料の額ってどう決まる?4月から6月は残業しない方がいい?

健康保険証

1. 勤め先で加入する健康保険

日本は国民皆保険で、必ず公的医療保険に加入しています。
よく、そうではないアメリカ社会と比較されることがありますね。
公的社会保険があるので、日本では平等に医療が受けられます。

勤務先が企業である場合には、勤務先の健康保険に加入します。
(そうでない自営業などの人は市区町村を通じて国民健康保険に加入します)。

勤務先が大きい企業だったりすると、独自の健康保険組合があり、それに加入します。
正確には、「概ね700人以上の従業員がいる」場合か「同種同業の事業所が集まって3000人以上」の場合に、認可を受けて健康保険組合を設立できることになっています。

健康保険組合は、法定給付以外に独自の給付も行えます(付加給付)。
保険料率でもそうですが、大企業の社会保険が手厚いと言われる所以です。

健康保険組合がない企業は、全国組織の「協会けんぽ」に加入します。
協会けんぽの正式名称は、全国健康保険協会管掌です。
全国組織なのですが、後で述べるように都道府県ごとで保険料率などが異なります。

2. 基本は標準報酬月額と保険料率

健康保険に加入しているおかげで、平等に医療が受けられるのですが。
加入しているからには、保険料を納めなければなりません。

この保険料はどのように決まるのでしょうか

これは、毎月の収入(正確に言えば、後述する標準報酬月額)に、その健康保険(協会けんぽでは都道府県単位)での料率をかけた額です。

月収そのままではなく、標準報酬月額というもので決まります。
個々人の毎月毎月の月収を把握して計算するのは事務の負担が大きいので。
段階的に仮の報酬月額を決めておいて、そのどれかに当てはめて考えます。
健康保険では月額58000円から130万円までの50等級です。

また、毎月ではなく、4月から6月までの3カ月の報酬を基に、その人の標準報酬月額が決まります

2.1 報酬に残業も含みます

この「報酬」の定義は幅広いです。
いかなる名称を問わず、労働者が労働の対価として受け取るもの」です。

固定している家族手当、住宅手当、通勤手当も含みます。
固定していない残業手当や宿直手当も、です。
さらには、食事や定期券などの現物も報酬と扱われます。

4月から6月に残業が多いと、その期間の報酬が高くなり、原則1年を通じて適用される「標準報酬月額」も高めになってしまいます。

会社の軽口で「4月から6月は残業するとソンするでぇ~」と言われるのは、このような事情です。
(標準報酬月額のために残業するしないを決めるなんてことは、現実的ではないでしょうけれど)

2.2 年の途中で変わることもあります

4月から6月の3カ月で1年を通じた標準報酬月額が決まるのが原則です。

この原則的な決定を「定時決定」と言います。
毎年7月1日現在の被保険者について、4、5,6月の報酬の平均額を計算し、その年の9月1日から翌年8月31日まで適用されます

その間に、大変動があれば等級が変わることもあります。3カ月単位で平均を計算して、それが2等級以上上下すると、改めて標準報酬月額が変わります。
(「随時決定」といいます)。

他にも、出産育児で休業し、その後復帰したものの残業などもできないために、報酬が下がった場合にも、標準報酬月額を改定する仕組みがあります。

出産前のバリバリやってた頃の報酬で高く計算された金額を、そのまま負担するという事態は免れることができます。
(「産前産後休業終了時改定」「育児休業等終了時改定」)

3. 勤め先によって異なる保険料率

保険料は、標準報酬月額に保険料率を掛けて計算するのでしたね。
これも加入する健康保険でまちまちです。

先に述べたように、協会けんぽでも都道府県ごとに異なります。
概ね9%台後半から10%台後半ですね…。

ただ、企業で入る健康保険は、企業側も保険料を負担します。
協会けんぽでは労使折半と決まっています。

健康保険組合は、その組合によって異なりますが、1000分の30(3%)から1000分の130(13%)の間と決まっています。

必ずしも労使折半とは限りませんが、企業側の方が大きくなくてはならないことになっています。
なので、労働者側は折半か、それより軽い負担になります。
これも、大企業が社会保険に手厚いとされてきた理由の一つですね。

まとめ

勤め人が勤め先企業で入る健康保険は、標準報酬月額に保険料率を掛けて保険料が決まり、実際には労使折半かそれより軽い負担となります。

標準報酬月額は、4月から6月の報酬で決まるために、昔からサラリーマンの軽口としてこの時期は残業したらソン、などと言われてきました。

標準報酬月額は、9月1日から1年間変わらないのが原則ですが、大幅に報酬が上下したとか、出産や育児休業などで報酬が下がった場合に改定されることもあります。

保険料率は、加入している組合や、協会けんぽでは都道府県によって異なります。

協会けんぽの例で考えると、労使合わせて10%として、5%前後になるでしょう。

収入の5%の保険料納付は負担ではありますが、これで国民皆保険社会として、平等に一定品質の医療を受けることができます。

アメリカでは、国民皆保険にしようとする動きを「自由が奪われれる!」「まるで共産主義だ!」という理由で反対する人もいます(ニュース映像で見て、私は驚きました)。

お金があるなら自由診療で高度な医療にアクセスできるようにすべきだ、というのも一つの考えだとは思いますが…。

国民皆保険に慣れ切った私にはちょっとついていけない…。
多くの日本人もそうじゃないかと思うのですが…どうでしょう?

医療の自由や、どこまで高度な医療を社会保険でカバーするのかという問いは、尊厳死(安楽死)問題なども含む大きな問題です。
専門書もあるので、読み込めたらここでもご紹介していきたいです。

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