コロナ禍で老後が不安?「○○年金」の中で把握すべき3つの公的年金

年金手帳とノートなど

コロナ禍で老後が心配になった人もいらっしゃるでしょう。老後と言えば年金ですが、色んな「○○年金」という名称があって分かりづらいかもしれません。まず公的年金で3つを押さえておきましょう。この基礎から全体像を見渡すことで「繰り上げ」などの対策を適切に考えることができます。

1. 老後の公的年金は「基礎年金」「厚生年金」「加給年金」

老後資金に直接影響するのは「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」と「加給年金」です。
いろんな「○○年金」がありますが、まず押さえておくべきはこの3つです。

1.1 老後に大きいのは「基礎年金」「厚生年金」「加給年金」

普通のサラリーマン世帯にとって、老後に関係するのは「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」それから「加給年金」です。

3つ並べましたが、少し性質は異なります。
公的年金の骨となるのは基礎年金と厚生年金です。
基礎年金を1階、厚生年金を2階と表現することもあります。

基礎年金から老齢を理由に給付されるのが「老齢基礎年金」
厚生年金から老齢を理由に給付されるのが「老齢厚生年金」です。

「加給年金」は厚生年金のいわば「家族手当」です。
65歳までの配偶者・18歳までの子どもがいる場合に、要件を満たせば支給されます。
後述しますが、比較的金額が大きく、当てはまる人も多いので、この記事では老後の年金の3つに含めています。

1.2 じゃあ他の「○○年金」は?

世の中にはいろんな「○○年金」という名称のものがあります。

公的年金は次の6つです。

前述の通り、公的年金は「基礎年金」と「厚生年金」の2階建てです。
この基礎年金と厚生年金から、「老齢になったとき」以外にも、「障害を負ったとき」「遺族となったとき」に給付がなされます

つまり、「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」以外に、「障害基礎年金」「障害厚生年金」「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があります。

2×3で6通りなわけです。
この6通りのうち併給可能な組み合わせについては別記事にします。

確定拠出型年金という言葉も耳にする機会が増えました。
これは、公的な性格もありますが、取り組むかどうかは個人や企業の選択によるため正確には公的年金ではありません。
確定拠出とは「拠出額が決まっている」という意味で、将来の給付は自分の運用次第で変わるという意味です。
従来の企業年金は給付額が決まっているもので(確定給付)、それとの対比で使われます。

確定拠出年金も含め企業年金と私的年金については以下に記事にしています。

「公的年金」「企業年金」「私的年金」の違いとは?老後資金にどう違いがでる?
老後生活の大きな柱が年金です。現役時代に支払っていた保険料を老後になって受け取るものですが、3種類あります。それぞれ性質が異なり、参考すべき情報源や、受け取り時の税金が異なります。この記事では公的年金・企業年金・私的年金の3種類を概観します...

在職老齢年金という言葉もありますが、これはこのような名称の年金がもらえるわけではありません。
「働き続けると年金が減ることもある」という制度のことです。
これも過去記事にしています。

在職老齢年金をめぐる3つの誤解 あなたにとって制度の持つ意味は?
「働いていると年金が減らされる」とされている在職老齢年金制度。この表現で大きく間違っていないのですが、誤解もあります。これらの誤解がなくなると、今後ニュースなどで報道されても、あなたにとってはどのような影響があるのか分かりやすくなります。 ...

【参考】日本年金機構:
年金の受給(老齢年金)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html
加給年金額と振替加算
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kakyu-hurikae/20150401.html

2. 基礎年金の概要とシニア女性の「カラ期間」

制度上、全ての人が受給できるのが基礎年金です。
(「10年の受給資格を満たさない」「全く手続きせずに未納だった」などの特殊な事情は除きます)

20歳から60歳までの40年間、全額の保険料を納めた人が、原則65歳から満額の基礎年金を貰えます
2020年現在は月額65,141円で、年間で約78万円です。‬

ただ、シニア女性の場合「カラ期間」が問題となることがあります。
1986年(昭和61年)に基礎年金制度として整備されるまで、専業主婦などが国民年金に加入するかどうかは任意でした。
加入しなかった専業主婦などが保険料未納で無年金となるのを防ぐため「受給資格期間に含めるけれども、年金額には反映しない」=カラ期間という制度ができたのです。
これに該当する人は受給できても金額が満額を下回ることになります。

【参考】
日本年金機構:老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20150401-02.html

公益財団法人生命保険文化センター:合算対象期間(カラ期間)ってなに?「合算対象期間が導入された背景」
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/23.html

65歳から受給するのが原則ですが、「繰り上げ受給」「繰り下げ受給」の制度もあります。

3. 厚生年金の原則と特例

企業にお勤めの人は、原則として厚生年金に加入しているはずです。
この厚生年金から老齢給付があります。

3.1 老齢厚生年金の金額は報酬比例

老齢厚生年金の金額は、あなたが得た報酬によります(報酬比例)。
働いている間、給与の金額(「標準報酬月額」「標準賞与額」)に応じた保険料を納めています。
老後受け取る年金額も働いていた時の給与の金額によるのです。

で、いくら貰えるの?とストレートな疑問をお持ちの方も多いでしょう。
お返事としては、「ねんきん定期便などでご確認してください」というのが正確だと思います。

計算式はありますが、これ自体ややこしいうえに。
働いていた期間を通しての平均値を出さなければならないからです。

あなたの場合については、それらを日本年金機構が計算している「ねんきん定期便」などをご覧になるのが早くて正確でしょう。

3.2 老齢厚生年金受給の要件と65歳未満で受給するパターン

老齢厚生年金を受給できる要件は、以下のとおりです。

  • 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていること
  • 厚生年金保険の被保険者期間が1ケ月以上あること
  • 65歳以上であること

【参考】日本年金機構:
老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20140421-01.html
老齢厚生年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20200306.html

上に挙げた要件の3つ目にあるとおり老齢厚生年金は原則65歳から貰えるものです。

65歳未満で受給するパターンには2つあります。
「特別支給の老齢厚生年金」に該当するか、自分の意思で「繰り上げ受給」を選んだかです。

特別支給の老齢厚生年金とは、昔に受給開始年齢を引き上げるにあたって経過措置がとられたものです。
だんだん該当者が少なくなっています。
過去記事があります。

FP受験生泣かせ「特別支給の老齢厚生年金の年齢」を超具体的にまとめました!
老齢厚生年金の受給は原則65歳から。しかし昔は60歳が支給開始年齢で、そのつもりで暮らしていた人々のため、引き上げは段階的にゆーっくりと現在も進行中。これが「特別支給の老齢厚生年金」です。FP受験教科書では「昭和〇年生まれは~」と無味乾燥な...

原則65歳の老齢厚生年金を「繰り上げ受給」「繰り下げ受給」する制度もあります。

4. 加給年金とは?

先も述べましたが、老齢厚生年金には「家族手当」という性質の加給年金があります。
後述しますが年間40万円近く貰える人も多いものです(配偶者特別加算を含めて)。

4.1 加給年金が貰える要件

まず、本人に厚生年金保険の被保険者期間が原則20年以上あることが条件です。

「家族手当」に性質が近いという理由は、65歳に達したときに、その人に生計を維持されている配偶者(事実婚も可)や子がいるときに加算されるからです。

生計が維持されているかどうかは、相手の年収が850万円以上かどうかで決まります。

家族の年齢は、配偶者が65歳までです。
子どもについては18歳到達年度末まで支給されます(障害がある場合には20歳未満)。

配偶者は65歳になると、配偶者自身の老齢基礎年金が貰えるので加給年金の対象ではなくなります
また、配偶者自身が老齢厚生年金(被保険者期間20年以上)や障害年金を受けられる場合は支給停止となります。
(配偶者が基礎年金を65歳前に繰り上げ受給しても、本人への加給年金には変更はなく配偶者が65歳までは支給されます)

【参考】日本年金機構:生計維持
https://www.nenkin.go.jp/yougo/sagyo/20160824.html

4.2 加給年金の金額

加給年金そのものは以下の金額です。

  • 配偶者 224,900円
  • 1人目・2人目の子224,900円
  • 3人目以降の子 各75,000円

配偶者にはこれに配偶者特別加算があります。
昭和18年4月2日以後に生まれた人(本人です)には166,000円加算されます。
(昭和17年4月2日~昭和18年4月1日生まれは132,700円で、それ以前に生まれた人についても段階的に金額は減っていきます)。

昭和18年以降に生まれた人は、加給年金額と配偶者特別加算額の合計390,900円が支給されることになります。

【参考】日本年金機構:加給年金額と振替加算
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kakyu-hurikae/20150401.html

「ねんきん定期便」などには加給年金について記載がありません。
日本年金機構がその理由を直接説明している箇所は見つけられませんでしたが、マネー系のサイトで複数説明されているのが「ねんきん定期便は本人についての記録だけで家族のことまで把握してないから」というものです。

日本年金機構では以下の内容はアナウンスされています。

【参考】日本年金機構:Q. 「年金見込額のお知らせ」では、加給年金額は除かれていますが、扶養している配偶者がいるときは加給年金額が支給されますか。
https://www.nenkin.go.jp/faq/seidozenpan/mikomigaku/mikomi/20120425-02.html

4.3 振替加算とは?

加給年金と一緒に説明されることが多いのが振替加算です。
先に述べますと、昭和41年4月1日以前生まれが対象ですので、それ以降の人には関係ありません
これも1986年(昭和61年)まで国民年金が任意加入だったことの影響です。

上記の加給年金は配偶者が65歳になると打ち切られます。
配偶者自身が65歳以降基礎年金を受け取るからなのですが。
1986年に20歳を超えていた人は、国民年金に40年加入しておらず、老齢基礎年金が満額支給されません。
このため、世帯として65歳以降に年金受取額が減らないようにできたのが振替加算制度です。

振替加算額は配偶者の基礎年金に上乗せされます。
そして配偶者の生年月日によって金額が決まります。

振替加算の一覧表は以下のリンク先に掲載されています。

【参考】日本年金機構:加給年金額と振替加算
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kakyu-hurikae/20150401.html

5. 老後の世帯年金を把握してから「繰り上げ」の検討を!

老後の年金について全体像が把握できたことと思います。

コロナ禍で老後が心配で「繰り上げ受給」や「繰り下げ受給」を検討される方もいらっしゃるでしょう。

詳しくは別記事にしますが…。
65歳からが原則の年金も「繰り上げ受給」すれば早くて60歳から受給できます。ただし、年金額は減ります
65歳より後に「繰り下げ受給」すると年金額を増やすことができます

「繰り上げ」「繰り下げ」できるのは、老齢基礎年金と老齢厚生年金です。
世帯で見ると、夫がサラリーマンの場合、夫の老齢基礎年金と老齢厚生年金があり、妻の基礎年金(に加えて、妻が働いていれば妻の老齢厚生年金)とがあります。

老齢厚生年金の「繰り上げ」は老齢基礎年金と同時でなくてはなりません。

組み合わせは世帯によって様々ですが…。
妻だけ「繰り上げ」受給するとか、夫の基礎年金だけ「繰り下げ」受給するとか、いろんな考え方があるでしょう。

加給年金については老齢厚生年金を「繰り上げ受給」しても65歳から決まった金額が支給されることに変わりがありません
「繰り下げ受給」しても、加給年金は増額されないどころか繰り下げ期間中は受け取れません
「繰り上げ」「繰り下げ」では加給年金も加味して考えましょう。

老後に貰える年金全体を把握し、「繰り上げ」「繰り下げ」の組み合わせを色々と検討して、最適解を見つけ出していきましょう。
(エクセルなど表計算ソフトで一覧にされるといいと思います)。

【参考】日本年金機構:老齢厚生年金の繰上げ受給
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-04.html
老齢厚生年金の繰下げ受給
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-05.html

まとめ

世の中にはいろんな「○○年金」というものがあり、混乱する人も多いでしょう。

公的年金として、普通のサラリーマン世帯に縁が深いものは「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」と「加給年金」(老齢厚生年金の「家族手当」)です。

それぞれ受給についての説明は上記の通りです。

コロナ禍で老後不安が高まり、「年金額が減ってもいいから繰り上げ受給をしたい」「繰り下げ受給で年金額を増やしたい」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

世帯で考えると、老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰り上げ繰り下げには複数のパターンがあります。
これに加給年金について含めて考えていきましょう。

エクセルなど表計算ソフトで何通りかシミュレーションすることで、思っていたよりも良い最適解が見つかるかもしれませんよ!

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