老後資金?個人年金保険があったはず…CFP問題集から解説します

道を歩む老夫婦

老後資金のためにと個人年金保険を勧められて加入している人も多いでしょう(ウチもです)。入ったままで、最近話題の個人型確定拠出年金(iDeCo)との違いがはっきりしていない人、受け取りが近い人向けに詳しく説明します。

1. 公的年金以外の選択肢として個人年金保険

保険のセールスで「老後は公的年金だけでは足りませんよ~」と勧誘されて、個人年金保険に加入した人も多くいらっしゃると思います。
ええ、我が家もそうです。

当時の我が家は若かったので、老後については漠然とした認識しかなく。
「保険料控除が受けられて、将来受け取れる金額が銀行預金よりお得」という理由で加入を決めたように記憶しています。

それから私自身の年齢も高くなって老後について考えるようになり、またCFP受験勉強でも取り組みましたので、個人年金保険について「へえ」と思ったことをまとめてみたいと思います。

若い頃、加入時に勧誘員さんから説明を受けたように。
確かに、毎年、保険料控除(所得控除)を受けられるので、この点で税金はお得です。

下記の要件を満たす個人年金保険であれば、所得税最高4万円、住民税最高2万8000円が、一般の生命保険料控除とは別枠で所得控除されます。
↑ただし。後で述べますが、所得控除でのお得さは個人型確定拠出年金(iDeCo)の方が大きいです。

保険料控除で、一般とは別の個人年金保険枠か適用されるかどうかには条件があります。

保険のセールスとしては、この点が売りなので、募集人から購入する分にはあまり気にしなくても大丈夫でしょう。

ただ、もしネット販売などを通じて自分で購入するなら「下記の条件を全て満たし、個人年金保険料税制特約を付加したもの」であるかどうか気を付けましょう。

個人年金保険料税制特約に必要な条件は以下の4つです。

  • 年金受取人が契約者または配偶者
  • 年金受取人が被保険者
  • 保険料払い込み期間10年以上
  • 年金受給開始が60歳以上で受取期間は10年以上(終身年金は除く)

なお、名称に個人年金保険とついていても、変額個人年金保険は一般の生命保険料控除の枠なので注意して下さいね。

2. 個人型確定拠出年金(iDeCo)との違い

2019年に話題になった金融庁の「老後資金2000万円」問題でも、老後資金作りに勧められていたのは個人型確定拠出年金(iDeCo)やNISAでした。

「あれ?老後資金は個人年金保険で備えている自分は?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、契約した支給額は老後資金に織り込んで大丈夫ですよ。

ただ、個人年金保険と個人型確定拠出年金(iDeCo)にはメリットとデメリットの違いもあります。

2.1 元本保証かインフレ対応か

変額個人年金保険を除き、個人年金保険では給付額があらかじめ契約で決まっています。
中途解約すると保険料を下回る(元本割れ)になることもありえますが、それさえしなければ保険会社が運用してくれます

正確に言えば。
保険料を原資として、契約により支払いが保証されている基本年金のほかに。
年金受取開始前の積立配当金を原資とする増額年金や、年金受け取り開始後の配当金を原資とする増加年金もあります。

保険は(変額や外貨建てなど特殊な場合を除き)、保険会社にお金を増やしてもらって、早期解約しなければ元本以上のお金を受け取るものです。
(特殊な契約でなければ)

ただ、この保険の金額は良くも悪くも確定した金額です
保険は長期間で契約するので、契約通りの金額を手に入れても、それがその時点でどれだけの価値があるかは…。
デフレならお得ですが、インフレだと貨幣の価値が下がるためインフレには弱いものです。
保険にはインフレに弱いというデメリットがあります。

元本以上に増えた分についての税については、本人が受け取るかどうか、一時金で受け取るか年金形式で受け取るか、死亡を原因とするかどうか、で様々です。
(後で説明します)

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、預金でも保険でも投資信託でも、個人型確定拠出年金(iDeCo)の制度を使って老後資金のための支出をしたときに、税の優遇が受けられるものです。

預貯金や保険であれば元本保証ですが、投資信託には制度上の元本保証はありません。

それでも、金融庁のレポートが推しているのが投資信託を積立てで購入するというものです。
後で述べるように資産寿命を延ばすためです。

投資信託には元本保証はありませんが、投資の対象としては値動きの幅(リスク)が低いものです。
どうして低くできるとされているのか、キーワードは「分散」です。
投資信託という商品自体、投資家からお金を集めてあれこれの投資先に分散して投資するものです。
また、長期にわたってタイミングも分散することでリスクを抑えることが可能とされています。

ある程度リスクをとらないとリターンも得られず、資産寿命も延びないので金融庁も投資信託を推しているのです。

税については、定められた上限まで掛金がまるまる所得控除となります。
今加入している年金制度によって個人型確定拠出年金(iDeCo)上限額は異なります。
一番少ないのは公務員で年間14万4000円です。

手っ取り早く確実に節税効果を得たいなら、個人型確定拠出年金(iDeCo)の方にメリットがあります

運用益には課税されませんので、運用益が出るならお得です。
受け取り時には、一時金は退職所得、年金は雑所得となります。
企業からの退職金や公的年金と合わせて控除額を考えるので、これらが大きい人には恩恵が受けられないこともありえます。

2.2 換金性が高いかどうか

不測の事態が起きてお金を用立てたいとき。
相対的にお金に変えやすいのは、個人年金保険の方です。

個人年金保険も積み立てるのが原則ですが、解約することでお金に換えることはできます
払った保険料より少なくなる可能性もありますが…。
民間企業相手に換金する自由はありますから、困ったときに助かるのがメリットです。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の方は、公的な制度であり、厳しいです。
加入10年以上、60歳からでないと給付を受けることはできません
融通はきかないのが個人型確定拠出年金(iDeCo)のデメリットでしょう。

個人年金保険にも個人型確定拠出年金(iDeCo)にもメリットとデメリットとがありますが、どちらかにしなければならないものではありません。

個人年金保険に振り向けていた資金を、一部個人型確定拠出年金(iDeCo)に充ててみるのも一つの考え方です。

3. 受け取り方による種類

個人年金保険は、受け取り方によって大きく3通りに分かれます。

  • 確定年金 生死に関わらず一定期間受け取れる。この期間に死亡したら遺族が受け取れる。
  • 終身年金 生存している間、年金が受け取れる。
  • 有期年金 生存している間の一定期間年金を受け取れる。

このうちポピュラーなのは確定年金です。
我が家もそうです。
保険会社も契約者もあらかじめ「○○円を〇年」と分かっているシンプルなものです。

終身年金は長生きすればするほどお得で、有期年金も有期として決まった期間生存していればお得です。

しかし、終身や有期年金では、いざ支給が始まって1年で死亡したとしても。
その1年ポッキリで、支給は終わりです。

それじゃああんまりなので。
そこで、保証期間をつけることがあります。
保証期間であれば、生死に関わらず受け取れるというものです。

ただ、この保証期間の税の問題がちょっとややこしいのです。

4. 保証期間付きでの一時金が要注意!

保証期間分のお金を一時金で受け取ることもあります。
これが、他の保険金の受け取った際の課税のパターンと異なる点があり、要注意です。

4.1 保険金の課税関係の一般的な場合

一般に。
満期保険金を一時金として本人が受け取るなら、保険会社が増やしてくれた分は一時所得として所得税の対象です。

同じく本人が受け取るのでも、年金として受け取るなら雑所得です。

死亡保険金を遺族が受け取るなら相続税です。
この時、一般ならば非課税枠があります。
「500万円×法定相続人の数」です。
(相続税法3条第1項第1号)

4.2 個人年金保険の保証期間を一時金として受け取った場合

保証期間分の年金を一括して受け取る場合。
その一時金を一括して受け取ることで契約が消滅するなら、一時所得として扱われます。

ところが。
保証期間付き終身保険の場合は、保証期間が終わっても年金契約が継続します。
したがって、一括金で受け取っても一時所得ではなく雑所得となります

一時所得は「1回ポッキリの所得」ということで、税を担う力(担税力といいます)が小さいと考えられています。
そのため、課税対象となるのは1/2とされています。
雑所得はそのまま総所得として課税されるので税の面では不利となります。

被保険者が死亡することで、遺族が年金に代えて一時金を受けることもあります。
保証期間付き終身保険の場合に生命保険の非課税枠の適用はありません
上に挙げた相続税法第3条第1項第1号に規定するものではないからです。

保証期間についての保険金は、一般の保険金とは扱いが異なる点は見落としがちです。
十分注意しておきましょう。

まとめ

個人型確定拠出年金(iDeCo)が盛んに宣伝される前に、老後資金として個人年金保険に加入した人も多いでしょう。

「保証期間付き終身年金」を選んだ人は、中でもかなり老後資金に意識が高かった人といえるかもしれません。
ところが、受け取り方はやや変則的です。

若い頃に保険に加入するときには、受け取り方まで詳しく知らないままだったりします。
(我が家もです)

また、当時なかった個人型確定拠出年金(iDeCo)のような新しい老後資金の作り方も誕生しました。

それぞれの長所と短所を考えながら、自分に合った資産形成をしたいものです。
この記事が再考するお役に立てれば嬉しいです。

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