FP受験生泣かせ「特別支給の老齢厚生年金の年齢」を超具体的にまとめました!

昭和から平成

老齢厚生年金の受給は原則65歳から。しかし昔は60歳が支給開始年齢で、そのつもりで暮らしていた人々のため、引き上げは段階的にゆーっくりと現在も進行中。これが「特別支給の老齢厚生年金」です。FP受験教科書では「昭和〇年生まれは~」と無味乾燥な情報の羅列となりがちで、受験生にツライ箇所です。この方々の人生を具体的に想像してみました!

1. 昭和60年(1985年)改正が今(2019年)にも残ってます。

老齢厚生年金の支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたのは昭和60年、つまり1985年です。

年金は、年を取って働けなくなってからの生活を支える大きな柱です。
それまで60歳から貰えるものと思っていたのに、それが先送りになるのは打撃が大きいものです。

自分の立場で考えてみましょう。
あなたも私も、老後資金計画を65歳からの年金込みで考えるのが普通です。
65歳からの公的年金受給を前提に貯蓄や個人型確定拠出年金(iDeCo)とか頑張っているのに、
国の都合で急に「じゃあ今年から5年遅く70歳にするね」と決められたら、たまったもんじゃありませんよね。

1985年当時でも同じです。
当時の人々の人生設計が狂わないよう、年金の引き上げは時間を掛けて行われ、2019年現在でも!残っているのです。

言い方を変えると「2019年でも65歳未満で老齢厚生年金(一部)を支給されている人もいる」ということです。

この制度により65歳未満で例外的に支給されているものを「特別支給の老齢厚生年金」といいます。

別の側面を考えてみましょう。
2019年現在も年金についての論議はやみません。

将来に必要な改正をするとして、それはどのようなタイムスケジュールで行われるのか。

過去の「老齢給付引き上げという大改革がどのようなスケジュールで実施されてきたのか」を振り返ることで、年金改革のスピード感も体感できるのではないでしょうか。

2. 教科書は昭和の生年表記の羅列で分かりにくい(泣)

受験生をやってきた私の手元には3級から1級までのテキストがあり、そのどれにも「特別支給の老齢厚生年金」が説明されています。

ただ、昭和表記の生年で決まっているので分かりづらい…。

2級受験までなら「そういう人もいる」で済ませていたのですが。
1級受験や、具体的にFP相談業務を視野に入れてくると、「実際にどれくらいの年齢の方がどう受けとめたの?」が気になります。

昭和60(1985年)に「引き上げが決まった」ときの年齢やその感想、現実に支給されるようになった年齢や世相などもイメージしてみたくなります。
そんな想像に役立つデータを以下に並べてみたいと思います。

3.特別支給の老齢厚生年金は2つの部分から

特別支給の老齢厚生年金は、一定額の定額部分と、報酬比例部分とに分かれます。

年齢の引き上げも定額部分と報酬比例部分とで段階的に行われてきました
先に定額部分、それから報酬比例部分です。

また、男性より女性の方が5年遅れで実施されています。

このような抽象的な説明ではピンと来ない?
ええ、私もそうです。
結局どういうことなのか、具体的に見ていきましょう!

4.プレイバック!男性の特別支給の老齢厚生年金(定額部分)

おおまかなイメージを把握するためのものなので、早生まれについては詳しく書いていませんが、だいたい以下のようになります。

4.1昭和16年4月1日以前に生まれた人

この年代は従来通り、報酬比例部分も定額部分も60歳からの支給でした。
もう年金給付のスタートは終わっている年代です。

4.2昭和16年4月2日から昭和18年4月1日生まれ

昭和16年=1941年生まれ=78歳(2019年現在)
この年代から定額部分の引き上げが始まりました。
報酬比例部分は60歳からもらえましたが、定額部分は61歳からの支給となったのです。

引き上げが決まった昭和60(1985)年時点では45歳
60歳で報酬比例部分が支給され始めたのが2001年、
61歳で定額部分の支給が始まったのが2002年です。

この年代から報酬比例部分を貰う年と定額部分を貰う年とが異なるようになります。

この年代は終戦前に生まれ、働き盛りの45歳がバブル経済期。
その中で将来の年金の引き上げが決まりました。

バブル崩壊後の21世紀から、引き上げられた制度を生きる世代です。
リーマンショックの前だったのは幸いだったかもしれません。

4.3昭和18年4月1日から昭和20年4月1日生まれ

昭和18年=1943年=76歳(2019年現在)
報酬比例部分は60歳からもらえましたが、定額部分は62歳からの支給です。
終戦直前に生まれた人ですね。

引き上げが決まった昭和60(1985)年時点では42歳です。
報酬比例部分支給開始(60歳)が2003年、
定額部分支給開始(62歳)が2005年です。

定額部分の支給年齢も引き上げられるので、報酬比例部分を貰い始める年から遅れる年数も遅くなります。
この年代で2年遅れですね。

4.4昭和20年4月2日から昭和22年4月1日生まれ

昭和20年=1945年=74歳(2019年現在)
この年代では報酬比例部分は60歳、定額部分は63歳から支給開始です。

引き上げが決まった昭和60年(1985年)では40歳。
報酬比例部分の支給開始時(60歳)は2005年、定額部分支給開始(63歳)は2008年です。

引き上げが決まった昭和60(1985)年は40歳の節目と重なり、そろそろ老後を意識し始めた頃でしょうか。
引き上げられたとはいえリーマンショックまでに年金支給が始まって良かったのかもしれませんね。

4.5昭和22年4月2日生まれから昭和24年4月1日生まれ

昭和22年=1947年=72歳(2019年現在)
この年代では報酬比例部分は60歳、定額部分は64歳から支給開始です。

引き上げが決まった昭和60(1985)年では38歳。
報酬比例部分支給開始日(60歳)は2007年、定額部分支給開始(64歳)は2011年です。

引き上げ決定時が38歳では老後にまだ実感はわかない人の方が多かったでしょうか。
2008年のリーマンショック時は報酬比例のみだったので、備えをしていなくて苦しい思いをされた方もいらっしゃったかもしれません。
2011年は東日本大震災の年、この年からは定額部分の支給もあり、ホッとする人もいらっしゃったかもしれませんね。

4.6昭和24年4月2日生まれから昭和28年4月1日生まれ

↑いきなり2年刻みから4年刻みになりましたが私の入力ミスではアリマセン。
この年代は4年で一括りです。

昭和24年=1949年生まれ=70歳(2019年現在)

この年代では報酬比例部分は60歳、定額部分は65歳から老齢基礎年金として支給されます。
老齢基礎年金は現行の制度です。
この世代で基礎年金については現行に追いつくことになります。

引き上げが決まった昭和60(1985)年では36歳。
報酬比例部分支給開始日(60歳)は2009年、老齢基礎年金支給開始(65歳)は2014年です。

リーマンショックや東日本大震災などを乗り越えてようやく老齢年金が受給できるようになった世代です。
支給開始にまだ36歳でしたから、年金については心構えができていた人も多かったかも。

昭和28年4月1日生まれの人は1953年生まれなので、2019年時点で既に65歳をこえています。
ですから、2019年現在では、特別支給の老齢厚生年金の定額部分を受給している人はいません。

5.プレイバック!男性の特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)

定額部分を受給している人はいなくなった2019年現在、今度は報酬比例部分が引き上げられています。

5.1昭和28年4月2日生まれから昭和30年年4月1日生まれ

昭和28年=1953年生まれ=66歳(2019年現在)

上で述べましたが。
この年代では報酬比例部分は60歳、定額部分は現行制度と同じく65歳から老齢基礎年金として支給されます。

引き上げが決まった昭和60(1985)年では32歳。
報酬比例部分支給時(60歳)は2013年、老齢基礎年金支給時(65歳)は2018年です。

なお、この年代で若い人、昭和30年の4月1日までの生まれだと2019年現在では65歳になっていません。
60歳(2015年)から報酬比例部分を受け取ってきましたが、老齢基礎年金は65歳(2020年)です。

5.2昭和30年4月2日生まれから昭和32年4月1日生まれ

昭和30年=1955年生まれ=64歳(2019年現在)
この年代から報酬比例部分の支給開始が引き上げられ、61歳からとなります。

引き上げが決まった昭和60(1985)年では30歳。
報酬比例部分支給開始日(61歳)は2016年、老齢基礎年金支給開始(65歳)は2020年です。

4月1日生まれか2日生まれかで報酬比例部分を受給する年齢が異なります。

2019年現在「特別支給の老齢厚生年金」の報酬比例部分を61歳から受け取っています。
「在職老齢年金」とか「雇用保険」との関係とか。
受験問題でムツカシイところです。
(在職老齢年金は65歳以上に比べて影響が大きく、雇用保険の基本手当を貰うなら特別支給の老齢厚生年金は全額停止です)

5.3昭和32年4月2日生まれから昭和34年年4月1日生まれ

昭和32年=1957年生まれ=62歳(2019年現在)
この年代から報酬比例部分の支給は62歳となります。

引き上げが決まった昭和60(1985年)には28歳
報酬比例部分支給開始(62歳)はちょうど今年(2019年)です。

28歳で年金の引き上げが決まり、十分覚悟の上、65歳を待たずに報酬比例部分を受給する…。
考えようによっては比較的ラッキーな世代かもしれません。
もちろん覚悟のほどや老後資金の計画の練り具合、具体的な金額次第ではあると思いますが。

5.4昭和34年4月2日生まれから昭和36年年4月1日生まれ

昭和34年=1959年生まれ=60歳(2019年現在)
この年代から報酬比例部分の支給は63歳となります。

引き上げが決まった昭和60(1985年)には26歳
報酬比例部分支給開始(63歳)は2022年です。

この年代の昭和36年4月1日までが特別支給の老齢厚生年金の対象です。
同じ昭和36年でも4月2日生まれ以降は報酬比例部分も定額部分も普通の老齢厚生年金・老齢基礎年金となります。

特別支給の老齢厚生年金の支給は、2024年に昭和36年4月1日以前の人が63歳で報酬比例部分を受け取るのが最後です。
この人は翌年の2025年になって65歳になるまでは特別支給の老齢厚生年金として受給しますが、65歳になると普通の老齢厚生年金に代わります。

「2025年には特別支給の老齢厚生年金がなくなる」
「2025年に老齢厚生年金は完全に65歳から支給になる」と言われているのはこのためです。

6.女性のプレイバックは…。

女性は男性より5年遅れです。

ここで同じように各年代別に頑張って書きたいところですが、記事が長くなるので別の機会に。

また、男性より当てはまる人は少ないのではないかと思います。
今のように女性が正社員として厚生年金に加入するケースが珍しかったからです。

別に女性を軽視しているわけでもなんでもなく。
とりあえず今回は男性のケースをご紹介します。

まとめ

いやー、書き甲斐のある記事でしたw
今まで受験テキストを眺めていても、昭和○年生まれの人が何歳でどんな経験をしてとか具体像には結びつかなかったですからw

昭和○年生まれの人は何歳で老後の年金制度の変更を知り、そして何歳のこんな出来事が起こったころにどんな年金を貰っているのか。
今後、実際に目の前にシニア男性がいる場面がリアルに想像できそうです。

あと、今後の老齢厚生年金についてイロイロ議論がなされています。
68歳とか70歳とかまで受給を遅らせるとか、3号被保険者の保険料負担か給付をどうにかしようとか。

少子高齢化で年金財政が厳しいのは確かで、そのため制度が変わる恐れは十分あります。
ただ、年金制度はその人の老後を大きく左右するため、ゆーっくり時間をかけて実施されます。
今日明日どうこうではないので、報道があっても過度に不安に思う必要はありません。
長期的に見てゆとりのあるライフプランを考えていけばいいと思います。

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