専業主婦の年金と保険料支払い、現行制度で3号廃止なら節約はどうする?

お金を持つ女性

私は専業主婦に該当します。FPでWebライターなのですが、夫の扶養を抜けるほどの収入はないからです。そんな私に「専業主婦は保険料を払っていなくてずるい」「保険料を負担すべきだ」という世間の声が。慌てて「もし現行制度のまま保険料負担するなら?」と想定して節約法などを考えてみました。

1. そもそも「専業主婦の年金」の何が問題か

今年(2019年)になって話題になりましたが、専業主婦の年金の問題は古くて新しい問題です。

FP受験テキストでは単純に現行の事実だけが述べられています。

日本に住んでいる人は20歳から60歳まで国民年金に加入することになっており。
その加入者の区別は第1号から第3号の3種類です。
日本に住んでいる人はみんなこの3種のどれかに「加入」はしてるんです。

勤め先で厚生年金保険に入っている人は第2号被保険者で、第2号被保険者に扶養されている人が第3号被保険者です
(これ以外の自営業などが第1号被保険者)

第2号、第3号被保険者のどちらもFPテキストには「国民年金としての個人的な納付は不要」とあります。

FPテキストも1級向けとなると慎重な言い回しです。

サラリーマンの2号被保険者については「国民年金は、加入している厚生年金保険から一括して拠出」されており、3号については「配偶者の加入している年金制度から拠出」されている…。

「厚生年金保険」という制度全体から(夫や他の加入者からの保険料を集めて)、国民年金にお金を出しています。
だから「個人的」には納付しないことになっています。

3号被保険者は、個人的には保険料を負担していませんが、保険料を納付していた人と同じように基礎年金を支給されることになっています。
↑この点が「不公平」「ずるい」と言われているんですね…。

FP受験と直接関係なく、私が資料として手元においている社会保障についての学術書(「有斐閣アルマ『はじめての社会保障』」)にも、第3号被保険者問題がコラム記事となっています。

2004年に、勤め人が払った保険料は「被扶養者の妻と共同で負担した」と法律的には決まったんだそうですが。
有斐閣アルマの著者も指摘するように、これで良かったかどうかは意見が分かれるところで…2019元年にも問題になってるんですよね。

ただ、2019年に報道された「働く女性の声を受けて」という論法は、ネット上の声や紙媒体の識者からは批判の声もあがっています。

「女性分断を煽る」「原因は財源不足なのであって、働く女性の声を代弁しているわけじゃない」「家事育児などの負担の偏りの是正という課題を無視するな」と手厳しくやられています。

女性間の分断については「まとめ」で私見を述べたいと思いますが…。
どんな論法であれ、年金の財源不足という現実の前に、いつかは3号被保険者も保険料を負担することになる可能性は考えた方がよいでしょう。

っていうか。
心配性の私は「ああ、どうしよう。収入が増える目途も立ってないのに。保険料の負担が求められてしまっては…」と既にオロオロしておりますw

とはいえ、私はFPでもあるので(キリっ)
もし、保険料を負担するとなったときに、節約できるならどのような方法があるか、どの程度の影響があるのかまとめてみたいと思います。

2. 現行制度のまま「1号被保険者」となるなら節約法アリ

じゃあどうやって3号被保険者から保険料を徴収するのか。
現在の1号被保険者と同じように、毎月国民年金保険料を納付するケースを考えてみましょう。

現在の1号被保険者の保険料納付については、2つの「お得な」方法があります。

2.1 「 1号被保険者」の年金保険料は前払いでお得に!

なんでもそうですが、前払いで一括すると「お得」になるものです。
なんと!公的な国民年金にも「前払いならお得」な仕組みがあるのです。

割引額が最も大きいのは、口座振替で2年分を前納するものです。
金額は毎年度変わりますが、令和元年度は15,760円お得になると日本年金機構のサイトでアナウンスされています。

↑具体的に言えば。。
令和元年度保険料16,410円×12カ月分と、令和2年度保険料16,540円×12カ月の合計額=395,400円
この395,400円から、前納による割引額15,760円を差し引いた額(379,640円)を一括で納付します。
一括で用立てるのは大変ですが、これで1万数千円浮いてくれるのは助かります。

2年一括が苦しければ、割引率は下がりますが、1年前納、6ケ月前納、当月末早割でもお得になります。
(当月末早割とは、原則が翌月末までに納付なので当月だと1ケ月早いことになるものです)。

現金やクレカでも同じように割引制度があります。
ただ、最も割引率がいいのは口座振替です。

年金保険を運営する側としては早く確実に納付して欲しいものなので、少々制度が変更になってもなんらかの「前払いでお得」制度は残るでしょう。

2.2 世帯でできる年金保険料節約術=所得控除(社会保険料控除)

家族の社会保険料(年金や健康保険など)を負担した場合、負担した人が所得控除を受けられます
制度としては社会保険料控除と呼ばれるものです。

社会保険料控除では、保険料全額が所得控除の対象です。
(民間の保険の「生命保険料控除」などでは上限がありますが、社会保険料控除にはありません)。

専業主婦なら夫が負担するわけで、この場合夫が所得控除を受けることができます。
夫本人の社会保険料控除は勤め先が手続きしていますから、妻の分を年末調整や確定申告で所得控除する手続きをします。

所得控除とは課税対象額から外すことです。
課税対象額が下がる分、税金がお得になります。

納税額は課税対象額に税率を掛けて決まるので。
ざっくりいえば、「課税対象から外れた金額×税率」が節税となります。

たとえば、その1年に夫が妻の国民年金を30万円負担し、この夫の所得税率が20%住民税10%だとすると…。
30万円×(20%+10%)=9万円節税になります。
(他の所得控除などは考慮していない概算値です)

所得税率はその人の所得に応じて異なります。
例に挙げやすかったので20%としましたが、5%から45%まで7段階あります。

法律で加入が義務付けられている社会保険料は、家族の分まで含めて所得控除の対象です。
専業主婦が第1号扱いされても、専業主婦の年金保険料だけを対象外とするとも考えづらく、この所得控除での節約法も残ると思われます。

3. 支給額を減額するとしても「半額」が下限では。

3号被保険者を年金財政から問題視するなら。
「保険料を負担せよ」か「支給額を減額しろ」になります。

支給額を減額…といっても半額より少なくはできないのでは?と思います。

というのも、現行の制度で、保険料の納付を免除されている人にも最低限半額の支給はあるからです。

生活扶助を受けているとか失業中で困窮している人は、手続きすれば免除されます。
全額を免除されても、年金の支給には国庫から半分の負担があるので、半額分に相当する額が支給されることになっているのです。

「専業主婦の年金支給は半分にしろ」という主張があったとして。
それは「半人前」とかいう感情論の問題ではなく、免除の人との釣り合いなど考えての「半減」かと思われます。

将来の支給が半減されるのは痛手ですが…。
ただ、免除者との釣り合いをはじめ制度変更には高いハードルがあるので、半減より下げられることはないでしょう。

4. 夫の保険料負担の増額は如何ともしづらい…。

現在、夫の納めている厚生年金保険料を、妻の年金分増額するという考え方もあるようです。

夫と会社との遣り取りなので、家庭でできる節約法は…うーん思いつかないです。すみません。

ただ、2で述べた社会保険料の所得控除については、現行制度同様に適用されるでしょう。
社会保険料控除の分は税金がお得にはなりはすると予想されます。

5. まとめ

年金財政の悪化という現実の前に、3号被保険者を廃止しようという声が高まるのは避けられないでしょう。
ただ、現実的にどのような方法で実施するのかは難しい問題です。

上で述べたように、1号被保険者と同じ扱いなら節約法は上記の通りです。
私自身も専業主婦で、すぐに扶養を外れるほどの収入を得る見込みは現時点ではないので、自分ごととして真剣に考えましたw

「支給を半減する」「夫の保険料を増額する」には、家庭で取り組めるものは今のところ見つかりません。
今後の報道を見ながら考えていきたいです。

今回は「働く女性が不公平だと言っている」という論法でした。
最初に述べたようにネット上の声や識者の見解でこれに否定的なものも多いです。

私の個人的な感触としても、「今の」働く女性が声高に主張しているとは感じません。

10数年前くらいは、某巨大掲示板で「兼業主婦VS専業主婦」という対立構図もよく見かけたんですけどね…。
近年は働きに出ている女性の方が多いですから、対立しようにも数が揃わないというかw

女性の就労率は上がりましたが、よく言われるようにパートの人が多いです。
正社員で働く人もいるでしょうけれども、新卒入社の一部のように「幹部候補」という意識の女性は少ないでしょう。

私が見ていて、某巨大掲示板でも、リアル知り合いでも、女性の場合「正社員」「パート」「専業主婦」の3つの立場を流動的に移動している人が多い印象です。

例えば。
私の友人の場合。

正社員として働いていたものの、夫が遠隔地へ転勤して子供も転校という人がいます。
優秀なので職場に引き留められ、週3日のパートで首都圏と地方の2重生活です。
これも彼女の体力が限界に来れば、退職を余儀なくされるかもしれません。
とはいえ、優秀な人ですし健康面で問題なく条件が揃えば、また働きに出られるでしょう。

もう一人。
子どもの同級生のお母さんと道端で会ったんですが。
「今、失業中でな。職業訓練受けてて。それでパソコン教室の帰りやねん」とのこと。

自己都合なのか会社都合なのか立ち入ったことは聞かなかったのですが。
「仕事やめて、休んで、また仕事探して働いて」というケースはネットでも見ます。

今が正社員でも、自分や家族の都合で立場が変わるかもしれないし、自分の周りでそのパターンの人もいるし。
今の働く女性は「自分も一時的にせよ専業主婦の立場になるかもしれない」という可能性を頭に置いている人が多いんじゃないでしょうか?

年金財政がアレなので、仮に意識調査で「3号は廃止すべきですか」という問いに2択で答えるなら「廃止すべき」と回答する人が多いでしょうけれども。
(恩恵を受けている私だってそう答えるでしょう)。

その「廃止すべき」と考える度合いは必ずしも一様ではないのでは?

「非常にそう思う」「どちらかと言えばそう思う」という風に細分化していけば、そんなに極端に鼻息荒く「絶対廃止!」と答える女性は多くないと思います(一部の「名誉男性」的な女性はともかく)。

「働く女性の声」がどーたらではなく、3号被保険者廃止論は年金財政の悪化でお尻に火が付いて浮かび上がってきたのでしょう。
そこで、以前あった(そして無視してきた)「働く女性の声」を、今頃になって引っ張り出してきたという印象です。

ちなみに女性の就労についてちょっと一家言ある方とこの話題になったところ。
「すぐには廃止にならないんじゃないですか。選挙だってあるし」とのこと。

多数派の「働く女性」に「代弁」させようとして、女性側から反論されて。
余計な「下手を打った」状態と言えるかも。
3号廃止を正当化して推し進めるには、別のロジックが必要となるかもしれません。

とはいえ、今日明日でなくてもいずれは廃止になる可能性も高くて、私も心休まりません(泣)。
収入が増えるよう頑張らないと…。

でも、誰もが健康で働ける状態、あるいは十分な収入が得られる状態にあるわけではありませんよね。
保険料の負担を軽減する方策、何か打開策があれば私もここで発信します!

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