え?増税っていつ決まったの?税についてのニュースの決まり方

新聞

暮れも押し迫った頃、新聞やネット等で「来年からの増税」が報道されます。そこで初めて知って「あれ?いつ決まったの?」と思う人も多いでしょう。報道をこまめに見ている人も「税のニュースって一年中やってない?」と本決まりのタイミングが良く分からない人もいるかもしれません。税についての報道の裏側を説明します。

1.増税の実施は1月1日からの所得に

所得税は1月1日から12月31日までの1年の所得に対してかかります。
税の改正があると、新年から改正された税の仕組みが適用となるのです。

そのため、年末の新聞などでの報道に「来年の家計に与える増税の影響」といった記事が登場するのです。

2019年12月現在、2020年から実施される税の改正で、身近なものは。
「基礎控除の引き上げ」と「給与所得控除の引き下げ」でしょう。

控除というのは課税対象額から差し引くことですから。
控除が引き上げだと減税に、控除が引き下げだと増税となります。

2020年については。
控除の引き上げと引き下げがセットとなる給与所得者の大半が、プラマイゼロとなります。
ただし、所得が850万円以上の人は給与所得控除の上限の関係で増税になる可能性があります(子育て世代には緩和策があります)。

では。
そもそも、この控除についての改正はいつ決まったのでしょう?

さらに。
個々の改正に限らず、税の改正とはどのようなタイムスケジュールで決まるのでしょうか?

2.増税が決定するタイムスケジュール

税金についてのルールは、法律で決まっています。
毎年毎年税のしくみは変わりますが(税の専門家から「猫の目税制」と揶揄されるほど)。

最終的には、国会の議決を経て法が改正されます
(所得税法そのものよりは、租税特別措置法で決まることが多いです)。

法律の根拠なしに税を取るというのは、平常時の近代国家ではまずナイことです。
暴動とか革命レベルですよw

2.1 大詰めは12月の「税制改正大綱」閣議決定

後で述べるように、ほぼ一年中いろいろな筋から税改正の動きはあるのですが…。

事前に出された意見や要望を受けて、内閣レベルで決まるのが「税制改正大綱」です。
毎年12月に決まります。

これが、年明けに税制改正法案として国会に上程されます。

この「税制改正大綱」で、税制改正の内容はほぼ決まっていることが多いです。
内容面でいえば、ほぼ本決まりです。
(もちろん法律ですから正式な本決まりは国会の議決です)。

具体例を上げましょう。
2020年に始まる「基礎控除引き上げ」「給与所得控除引き下げ」です。
これは、2018年の税制改正で決まり、その税制改正大綱は2017年12月22日に閣議決定されています。

2.2 4月から各省庁がアップをはじめます

12月の内閣の「税制改正大綱」に至る前に。
いろいろな動きがあります。

まず、各省庁が4月の新年度から翌年度の税制改正の準備を始めます。

税はそもそも行政の財源です。
翌年度の各省庁の予算を要求する「概算請求」が夏ごろに行われるのです。

つまり。
「これこれの事業をしたいので予算はこれだけ欲しくて、その財源として税制はこうして欲しい」という要望が官庁から上がるのです。

2.3 政府の税制調査会

税については、総理大臣の諮問を受けて審議をする機関があります。
それが「税制調査会(政府税調)」です。

内閣府のサイトで議事録が見られます。

「政府の」とありますが、これは後述する「自民党の」と区別するためです。

政府の税制調査会は、学者などの専門家から構成されています。
「形ばかり」と軽視された時期があったり、気骨のあるところを見せて存在感を示したりということが今までありました。

税改正のプロセスでは無視できませんが、この組織だけでは決まらないのが複雑なところです。

2.4 秋ごろから自民党税制調査会

自民党という、政党内での政務調査会の一つに過ぎない…ハズですが。
税制改正の中で大きな位置を占めています。

与党ですので、各省庁や地方公共団体や、各種業界団体とパイプがあります。
この自民党の税制調査会で、現実の利害関係が調整され、具体的なものに詰められるのです。

自民党内のものなので、ここで決まっても、具体的な数字が変わることもあります。
連立を組んでいる他の政党があれば(公明党など)、そことも調整が必要だったりするからです。

2018年の税制改正で決まった「給与所得控除引き上げ」について、最終的には850万円以上の所得で増税となることになったものの。

その前には800万円と報じられた経緯があります。
公明党との調整で850万円に数字が変わったのです。

2.5 「税制改正大綱」が年明けに国会へ

自民党が、連立を組んでいればその相手政党とも調整して「与党税制改正大綱」をとりまとめ。

それをもとに、内閣が上述の「税制改正大綱」を12月に閣議決定します。

それが、年が明けた後、国会に提出されます。
通常国会は毎年1月に開かれ、そこで審議されることになります。
衆議院、参議院とで審議し、3月末に国会で承認されます。

ここで名実ともに本決まりとなり、4月1日に法律が施行されるのが通常です。

3.報道されるタイミング

政府やその周辺の動きは、上記の通りです。
それらの動きが、私たちにニュースとして届けられるのはどのようなときでしょうか。

3.1 ニュースバリューによっては年がら年中?

消費税を上げるとか、配偶者控除をどうするかとか、ニュースになりやすいものは、その都度報道されます。
「省庁でこんな動きがある」とか、「審査会がこう言った」とか、有名政治家の発言などです。

本決まりまで遠くても、ニュースバリューがあれば報道されます。

ただ、本決まりには、政府税調や自民党の税制調査会などでどうなるかが重要です。
省庁や個々の政治家の発言段階では、一応身構えるくらいで聞いておいた方がいいでしょう。

3.2 税制改正大綱関係で12月に

12月になると、内閣からの「税制改正大綱」が発表です。
これは、後は国会に提出するだけなので、内容面ではかなり本決まりです。

施行されるまで時間があるとはいえ、いずれは暮らしに影響が出るものです。
12月に入ったころから公になる「税制改正大綱では…」という報道は、目に着いたら真面目に読んでおいた方がいい内容です

3.3 新年から始まるものが年末に

「税制改正大綱」の内容は、いくら12月に内容がほぼ本決まりでも、翌年の国会の議決を待たなければなりません。
施行はその先です。

年末に報道されるのは、過去に国会でも決まっているものです。
最初に述べたように、税は1月1日からの所得にかかるので、年末に報道されるのです。

これが「来年、あなたの暮らしはどうなる?」という趣旨の報道で見かける内容です。

終わりに

年末に「来年から増税ですよ」と言われても、「あれ?いつ決まったの?」と思う人も多いでしょう。

増税の動きは、それが身近なものであればあるほど早い段階から報道されます。

とはいえ。
ニュースを聞く側からすると。
あまりに早い段階から「増税かも」「増税かも」と報道されても、「オオカミ少年」のように、「いつ本当に決まるのか?」が分かりづらいですよね。

官公庁などは予算の概算請求の関係で早めに公に動きます。

ただ、本格的に実現に向けて動き出すのは、政府税調や自民党の税制調査会などで取り上げられる頃からです。

秋頃にこれらの機関に関して報道される内容には注意が必要です。

12月の内閣の「税制改正大綱」で内容面ではほぼ本決まりです。
この時点で報道される内容は、ほぼ実現するため、この段階で将来の税負担について把握しておきたいものです。

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