寄附金いくらにしよう?恥をかかずに済むための寄附金控除の基礎知識

気持ち(ハート形の花束)

寄付をするとき、どんな金額にするか迷いますよね。世間体と懐具合とのすり合わせに気を遣います。ただ、寄付によっては税金がお得になる制度もあります。これを上手に使えば、比較的少ない実質負担で、まとまった額の寄付も可能となるのです。

1. 寄付をすると所得控除(税額控除)で税がお得になることも

税がお得になるしくみ(所得控除・税額控除)には、寄付金を対象とするものもあります。

まず、所得控除を中心に税がお得になるしくみを確認しましょう。

詳しくは当サイト別記事もご覧ください。

「○○控除で税がお得になる」ってどういうこと?納税額の決まり方
年末調整や確定申告に向けて「税をお得にする裏ワザ」などの情報があふれる季節です。ここでは、表面的な「裏ワザ」だけでなく、もともとの課税の仕組みをご説明します。これを知ると、いわゆる裏ワザも理解しやすくなり、さらにご自分に最適な節税方法も見つ...

簡単に言えば、税金は、課税対象所得に税率を掛けて決まります。

この中で、課税対象所得から一定額を差し引くことを所得控除といいます。
例えば。
子沢山の人は重い税を担えないので、所得控除(扶養控除)で課税対象額を低くします。

このように個人の担税力を考慮したもののほか、社会政策的に望ましいものについても所得控除が行われます。
つまり
社会にとって望ましい支出をしたら、その分は税金をお得にしてくれます

寄附という行為も望ましいものですから、所得控除として課税対象から差し引くことが認められているのです

後述しますが、寄付金の種類によっては一度決まった納税額から一定額を差し引ける税額控除も選択できることもあります

ただ、どんな寄付でもいいわけではなく、寄付先や目的が公的なものであることなど条件はあります。

「その条件ってどうやったら分かるの?」と気になるかもしれませんね。
でも大丈夫。
条件を満たす寄附なら、寄付を募る相手から「税がこれだけお得になりますよ!」としっかりアピールがあるはずです

2. お得になる分を考え併せて寄付金額を設定

我が家でも、子どもの通う私立学校から寄付金のお知らせがあったりします。

寄附って、どれくらいすればよいのか分からないこともありますよね。
良くも悪くも目立たないような金額を考えないと…とプレッシャーもw

一口1万円として、さて、何口くらいしたら…と迷うケースを考えてみます。
1万円から3万円くらいで…とお考えだとしましょう。

もし3万円を寄付するとし、普段の所得税率が20%・住民税率10%で、その寄付金が所得税の所得控除、住民税の税額控除を受けられるとします。

所得税の所得控除は3万円から2千円を引いた2万8千円について認められ、これが課税対象から外れるため、所得税率20%の人は2万8000円×20%=5600円節税となります。

住民税が10%認められる場合も、控除額は2万8000円×10%なので2800円節税となります。

この場合所得税と住民税で5800円+2800円=8600円お得になります。
3万円寄付しても、実質な負担額は3万円-8600円=2万1400円で済みます(節税額は概算です)。

なお、私立学校への寄付なら後述のように税額控除も選べます。
所得税が3万円×40%=1万2000円お得になります。
住民税と合わせて1万4800円お得となり、3万円の寄付でも実質負担額は1万5200円となります(概算)。

最初に寄付金を1万円から3万円で悩んでいた人が、間を取って2万円くらい負担しようかな?と思ったら。
そこで寄付金額を2万円にしてしまわなくても、寄付金額3万円でも負担額は2万円程度で、あまり変わりません。

寄附金控除で税がお得になる分を織り込んでおくと、「これくらいなら…」と心づもりしていた金額より大きな金額の寄付ができます

「寄附金いくらくらいにしようか」とお悩みの方、金額には寄附金控除も影響することも加味してお考えくださいね。

3. どんな寄付がどれだけお得になるか

寄附金控除が認められるかどうか、認められるならどれだけお得になるのか、その範囲は細かく決まっています。

ただ、実際には、寄付金を募る側がアピールしてくれるので、そちらから情報を得やすいでしょう。

正確には国税庁のサイトに説明があります。
【出典】国税庁
寄附金を支出したとき
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/04_3.htm
No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1150.htm

ここでは主なものについて見ていきましょう。

3.1 寄附の対象

寄附の対象は、国、地方公共団体はもちろん、公益を目的とする団体(公益社団法人や公益財団法人)など、公的なものです。

より幅広く、教育、科学技術振興、文化、社会福祉などの公的に寄与するものとして法律で認められている法人も対象となります。

独立行政法人、自動車安全運転センターや日本司法支援センター、一定の条件を満たす私立学校、社会福祉法人などです。

政治活動に関する寄附や、認定NPO法人への寄付も寄附金控除の対象となりますが、後で述べるように寄附金の性質にもよります。

この他については上記の国税庁のサイトをご覧ください。

3.2 寄付金の性質

寄附金の性質にも条件があることがあります。

私立学校への寄附金でも、それが入学に関するものなどは認められません
入学後に、「創立〇周年だから設備新築のためのご寄付を…」みたいなのはOK(我が家も去年しました)。

政治活動に関する寄附金や、認定NPO法人への寄付でも、寄付をした人に特定の利益が及ぶものは認められません

政治関係は、政治資金規正法に違反するものも除きます

反対に。
認められるどころか、お得度がずっと高いのが「ふるさと納税」。
「ふるさと納税」という名前ですが、納税するのではなく、任意の自治体への寄付であり、一般の寄附より税の優遇が大きいです。

ふるさと納税の場合は、上記の所得税や住民税の税率でお得になる以外にも、特例で控除枠が認められています

この特例をフルに使えば、「寄付金額-2000円」分税がお得になります(上限はあります)。
ふるさと納税では、それに加えて各自治体からの返礼品があり、俗に「実質2000円の負担で、ネットショップのように色々なものが手に入る」状態となるのです。

ふるさと納税について、そのネットショップ化の是非について等を以前記事にしたことがあります。

米代など食費を節約するなら…ふるさと納税の活用を!2019年以降も大丈夫!
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3.3 税額控除も選べる場合

上で見た寄附金の中には、所得税について、所得控除に代えて税額控除が選べることもあります。

税額控除は一度決まった税額から、決まった金額を差し引くことです。

政党寄附金認定NPO法人への寄付、公益社団法人などです。

私立学校は「公益社団法人など」の一つとして認められることがあります
うちの子の学校は、これにあてはまり、寄付をするなら所得控除か税額控除かが選べます。
後で計算式を述べますが、税額控除の方がお得な人が大半です。

【出典】国税庁
No.1260 政党等寄附金特別控除制度
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1260.htm
No.1263 認定NPO法人に寄附をしたとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1263.htm
No.1266 公益社団法人等に寄附をしたとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1266.htm

私立学校への寄付金の税額控除については
【参考】文部科学省:学校法人に対する個人からの寄附に係る所得税の税額控除について
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1311465.htm
【参考】私立大学協会:“税額控除”で広がる学校法人への寄附 小額寄附金の控除額が大幅増
https://www.shidaikyo.or.jp/newspaper/rensai/tax/2457-5-0.html

住民税については、「寄付金額-2000円」×10%が税額控除となります。
先も述べたように、3万円寄付したら2万8000円×10%=2800円の節税効果があります(次で述べますが10%認められないケースもあります)。

4. 節税効果の計算方法

ここで、所得税の所得控除、税額控除、住民税の税額控除の計算方法を見ておきます。

4.1 所得税の所得控除の節税効果

上でも触れましたが、所得控除の節税額は、所得控除の金額×所得税率です。

そして、寄付金の所得控除が認められるのは、「寄付金額-2000円」です。
所得税率20%の人は、所得控除額×20%です。
所得税率は5%から45%の7段階で、その人の所得で決まります。

上で出した例のように、所得税率が20%の人が3万円寄付した場合、所得控除額(3万円-2000円)×20%の節税効果があります(概算です)。

4.2 所得税の税額控除の節税効果

所得税において、税額控除が認められる場合。
「寄付金額-2000円」に、政党等寄附金が30%、NPOや公益社団法人などで40%を掛けた額が、所得税から差し引けます

私立学校に3万円寄付した場合、2万8000円×40%=1万1200円の節税効果があります。

所得控除と税額控除、どちらも基になるのは「寄付金額-2000円」。
所得控除を選ぶと所得税率の%が、税額控除を選ぶと40%が節税できる金額となります。

所得税率が40%を上回る人はそうそういないので、大半の人は税額控除の方がお得です。
(所得税率が40%は課税対象となる所得が1800万円以上の人です)

4.3 住民税の税額控除の節税効果

住民税の税額控除のもとになるのも「寄付金額-2000円」です。

住民税の税率は、都道府県4%、市町村6%です(政令指定都市では都道府県2%、市町村8%です)

ただ、住民税の税額控除の対象となっているかどうかは、都道府県または市町村が指定しているかどうかで決まります
どちらからも指定されていれば、「寄付金額-2000円」×10%が税額控除されます。

どちらかだけというケースもあります。うちの子の通う私立学校の説明を例に挙げましょう。

この学校の所在地(政令指定都市)に住んでいると、2%+8%=10%が税額控除、
この政令指定都市以外の同じ都道府県に住んでいると4%が税額控除となります。
ちょっとややこしいですね。

「ふるさと納税」は、ここで述べた仕組みで10%が控除された上に、さらに特例枠があるものです。
ちょーっとややこしすぎるのでここでは割愛しますw

4. 原則、確定申告が必要です(ふるさと納税の特例を除く)

税の計算は、企業勤めの人の場合、企業で源泉徴収の際に行ってくれますが。
個人的に行った寄付まで会社は面倒見てくれないのが原則です。
よって、基本的には確定申告することになります(ふるさと納税のワンストップ特例を除く)。

お金に関することはなんでもそうですが、領収書は大事です。
寄付をした相手から、寄付の受領証(領収書)が紙か、電子的なもの(QRコード)などで送られてきます。
これをもとに確定申告をします。

ふるさと納税は、寄付する先の自治体が5カ所以下なら確定申告を不要とすることもできます。
特例なので、ここでは割愛しますね。

まとめ

日本はあまり寄付をする文化が濃くはありませんでした。

しかし、社会のために、人々が自発的にお金を出すことは、社会にとって望ましいものです。それを後押しするのが、税の優遇策です。

とはいえ。
寄附行為に慣れていない日本人的には、寄付金をいくらにしたらいいのか戸惑います。
「よそのお宅」だって気になりますよね?

その寄付でどれだけ節税効果があるかを考え合わせると、ゆとりをもって寄付金額を決めることができます

寄附を募る際、募る側が丁寧に寄附金控除について説明してくれることが多いです。

そちらの説明と、この記事を読んで、具体的に電卓をたたいて見てください。
知ると知らないとでは結構金額に開きがでます。
ぜひ、みなさんの寄附金の決め方にご活用いただければと思います。

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