年末調整や確定申告「生命保険料控除」の対象は?ハガキが違う時のなぜを解説

生命保険料控除証明書

年末調整や確定申告で手続きすれば税がお得になる生命保険料控除。毎年秋になると、各保険会社から手続きのためのハガキなどが送られていきます。ところが、その内容があなたの把握しているものと違っていることもあるのです。

1. 生命保険料控除の趣旨

生命保険料控除は、人生のリスクに対して、民間の保険に加入して自助努力をしている人を支援するための制度です。

このような社会政策上の理由で税を優遇するので、国税庁の方で細かい規定が定められています。

あなたが生命保険料控除を受けたいときは、保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」を基に書類を作成するでしょう。

ハガキなどで届くアレです。

ところが、このハガキが、「自分が加入しているはずのアノ保険については来ない」とか「自分が把握している保険料の金額と違う」ということがあるかもしれません。

それは、保険契約の全てが対象となるとは限らないため、保険料控除証明書に含まれないこともあるからです。

2. 貯蓄目的の一部や傷害保険は対象外

生命保険料控除は「一般の生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つがあります。

一般の生命保険料控除が認められる契約は、「生存又は死亡に基因して一定額の保険金が支払われる」もの、介護医療保険料控除が認められるのは「医療費支払事由に基因して保険金等が支払われる」ものです。

※個人年金については3.で述べます。

生存・死亡、医療費の支払いが発生するというリスクに対応する保険が対象です。
また、受取人が契約者、配偶者、その他の親族である必要があります。
親族とは6親等以内血族と3親等以内姻族です。

対象とならないのは、保険期間が5年以下である「貯蓄保険」などです。

また、団体信用保険も対象外です。
住宅ローンを組んだ際に入っている人も多いでしょう。
これは、万が一の際に下りる保険金で住宅ローンを完済するための保険です。
なので、保険契約者および受取人は、銀行などの債権者です。
あなたやあなたの親族などが手にする保険ではないので、生命保険料控除の対象ではありません。

【参考】
生命保険文化センター:団体信用生命保険について知りたい
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/house/9.html
住宅金融支援機構:特約料は生命保険料控除の対象にはならないのですか?
https://www.jhf.go.jp/faq/danshin3_5.html

財形保険も対象外です。
勤務先で入っている、「財形貯蓄契約」「財形住宅貯蓄契約」「財形年金貯蓄契約」も対象外です。
これらは財形であることで、別途非課税措置などがあります。

傷害保険も対象外です。
傷害保険はケガ、それも「急激」「偶然」「外来」という条件を満たしたケガの補償のためのものです。
典型的なのは交通事故などですね。
傷害保険は、医療保険と重なる部分もありますが性格が異なり、2019年時点では「生命保険料控除」の対象外となっています。

3. 個人年金保険でも対象とは限りません

個人年金保険も、個人年金保険だからと言って生命保険料控除の対象になるわけでありません。

むしろ、対象になるには一定の要件を満たさなければならないのです。
(保険会社が売っている時点で大抵この条件をクリアしていることが多いので、結果的に契約者側があまり意識することがないかもしれません)。

3.1 税制適格特約とは

個人年金保険が生命保険料控除の対象となるには、以下の4つの条件を満たして「税制適格特約」を付加する必要があります。

  • 年金受取人が契約者か配偶者のどちらか
  • 年金受取人が被保険者
  • 保険料の払込期間が10年以上で定期的であること(一時払いは×)
  • 年金受取期間が定められている場合(有期・確定)は60歳以上から受け取りで、期間は10年以上(終身なら年齢の要件なしでOK)

【出典】生命保険文化センター:税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」
https://www.jili.or.jp/knows_learns/basic/tax/premium.html
国税庁:No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1141.htm

これらの条件を満たさず、税制適格特約がなくても、一般の生命保険料控除の枠で所得控除の対象とすることはできます
ただ、多くの場合、生死を扱う一般の生命保険の方で枠を使い切っているかもしれませんね。

3.2 変額個人年金は「一般の生命保険料控除」

おなじ「個人年金保険」でも、「変額」個人年金保険は、個人年金保険料控除の対象ではありません
一般の生命保険料控除の対象にはなります。

変額個人年金は、運用次第で将来受け取る年金額が変動するものです。
変動のリスクは契約者が負います。
生命保険文化センターの「保険ガイドWeb」では、はっきり「投資型年金」とカッコ書きされています。

【出典】生命保険文化センター「保険ガイドWeb」:変額個人年金保険(投資型年金)とは?
https://www.jili.or.jp/h_guide/rougo/02/index.html

4. 特約によって対象外のことも

生命保険料控除は平成24年(2012年)に大きな変化があり、それ以降を新制度といいます。
新制度では、身体の障害のみに起因して保険料が支払われるものは、生命保険料控除の対象外となりました

具体的には、障害特約災害割増特約災害入院特約などです。

それらの特約も含めて保険料を支払っていても、生命保険料控除のためのハガキなどに乗っている金額はその特約部分を引いた金額となっていることがあります。

【出典】生命保険文化センター:税金に関するQ&A「 Q.新しい生命保険料控除制度とは?」
https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/tax/tax_q16.html

なお。
旧制度での契約も、契約の更新や転換、特約の中途付加をすると新制度の対象となる規定があるのですが。

新制度で保険料控除の対象外の「身体に起因して保険金が支払われる特約」は、付加しても新制度の対象とはなりません(旧制度だけなら控除額が大きいこともあります)。

5. 似て非なる「一時払い」と「全期前納一括払い」

保険料を何年も何十年もかけて支払うのではなく、「いっぺんに」支払う方法に、一時払いと前期前納一括払いとがあります。

一時払いは、保険期間の全体を1つの単位として一時に払いこみます
生命保険料控除の対象となるのも、この時点、この年だけです。

全期前納は、分割払いの一つで、契約時に全保険機関の保険料をまとめて前納します
前納の場合は、保険会社が預かっていて、保険期間が経過するごとに保険料として充当します。
そして、生命保険料控除は前納期間中の毎年適用されます。

一時払いは保険料が安くなります。
生命保険料控除の対象とならないと分かって「あれ?なんでお得だと思ったんだっけ?」とお思いかもしれませんが。
契約時には保険料と受け取る保険金(返戻金)とを比べて「お得」だと判断したからというケースが大半だと思います。

前納一括払いでも、前もって払う分は保険会社の定める利率で割り引かれているので保険料も安めになりますが、一時払いよりは高いことが一般的です。

【参考】
生命保険文化センター:保険料の払込方法
https://www.jili.or.jp/knows_learns/basic/insurance/payment.html
フコク生命:その6 こんな仕組みも知っておこう
https://www.fukoku-life.co.jp/plan/knowledge/06.html

まとめ

年末調整や確定申告に向けて、各生命保険会社からの保険料控除証明書(ハガキなど)を集計している人も多いでしょう。

あれ?と思われた方。

保険によっては生命保険料控除の対象とならないこともあります。
生命保険料控除の対象となっても、一般か医療介護か個人年金かの枠が違っている場合があります。
また、新制度では特約によっては対象外となり、保険料の一部が対象外となっていることもあります。

また、同じ「いっぺんに払った」と認識しているものでも、一時払いと全期前納一括払いでは生命保険料控除の扱いは異なります。

保険会社もそうそうミスはしないのですが、万が一のこともあります。
あれ?と思ったら、原因を突き止めてみてください。
この記事がそのお役に立てたらとても嬉しいです。

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