年末調整や確定申告、「生命保険料控除」の新旧の制度(契約)をわかりやすく

保険料控除証明書

生命保険に加入していると、税金がお得になります。毎年10月頃に手続きに必要なハガキなどが各保険会社から送付されてくるでしょう。それを基に年末調整や確定申告をするのですが、ハガキや書類にある新制度(新契約)と旧制度(旧契約)とは何のことで、何がどう違うのでしょうか。

1. 保険に加入していると税金が安くなる「生命保険料控除」

一定の生命保険その他の保険に加入していると、所得控除の対象となり、税金がお得になります。

個々人が、民間の保険に加入することで、リスク回避の自助努力をしているのを応援しようとする趣旨の制度です。

このような社会政策上の要請によるものなので、制度が変わったり、国税庁から細かな条件が付けられたりしています

2019年現在も制度の変更に伴い、手続きも新旧の制度が併存しています。

この記事では、新旧の制度についてご説明します。

※参考に、生命保険協会のサイトを挙げておきます。
後で述べる平成24年の改正に際してのお知らせですが、生命保険料控除が「保険契約者の自助努力を支援」と説明されています。

【参考】社団法人生命保険協会:生命保険料控除制度について
https://www.seiho.or.jp/data/billboard/deduction/

2. 旧制度(契約)・新制度(契約)とは?

生命保険料控除の手続きをしようとして、各生命保険会社からのハガキを見ていると、旧制度・新制度とあります。
職場に提出する届にも同じ区分がありますね、。

これらは何を意味するのでしょうか。

これは平成24年(2012年)に生命保険料控除制度が大きく変わったことによります。

昔は医療保険や介護保険とかって、あまりありませんでしたよね?
医療保障は生命保険の特約とかでしたし、介護についても「長生きリスク」は昭和や平成初期にはあまり意識されていませんでした。

それがだんだん医療保険や介護保険の商品が充実するにつれ、これらの保険についても「自助努力でリスクに備える人を支援する税の優遇を設けるべきだ」ということになったのです。
(上記のリンク先にそのような説明があります)。

生命保険料控除は、平成24年(2012年)まで一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除の2つの枠だけでしたが、そこに介護医療保険料控除が加わり3枠となりました

平成24年から、介護や医療保険が、他の保険とは別枠で対象となったのです。

3.控除の対象となる金額は?

生命保険料控除は、支払った保険料全てが所得控除の対象となるわけではありません。

平成24年以降の契約(新契約)で、保険料が年間8万円を超えると4万円が所得控除として認められます(住民税は5万6000円超で2万8000円)

年間で保険料を10万円や20万円支払っていても、所得控除の最高額は4万円です。
(最高額より小さくなるケースは「4」で後述します)

3.1 新契約での控除額は?

平成24年以後の新契約では、一般の生命保険、介護医療保険、個人年金保険それぞれについて上記の最高額が認められます。

所得税では、一般の生命保険、介護医療、個人年金にそれぞれ年間8万円以上支払っていれば、各4万円の所得控除が認められます。合計して12万円まで認められます

なお、所得税は4万円が3枠と考えてもおなじで分かりやすいのですが…。
住民税についてはそれぞれ2万8000円認められるものの、3枠の控除額の合計は7万円が限度です(2万8000円×3=8万4000円なんですが)。

以上、新制度の説明をしましたが、旧制度の契約についてはどうでしょうか?

3.2 旧制度での控除額は?

平成24年より前の契約は、旧制度の生命保険料控除の対象となります。

所得税について、年間10万円以上支払っていれば最高5万円の所得控除が認められます(住民税は7万円超で3万5000円が最高額)

旧制度では、一般の生命保険と個人年金保険料の2つの枠だけですが、所得税では合計10万円、住民税で合計7万円が認められます

平成23年度までの保険契約だけなら、そのまま旧制度に当てはまります。

3.3 新制度と旧制度、両方ある場合の規定は?

多くの人は平成24年以降の新契約と両方の保険料を負担しているでしょう。

平成24年以降、医療介護保険に入った人も多いでしょうし。
それに、平成24年以前に加入した保険でも更新などすると新制度の対象となるのです。

平成24年以降だけでなく平成23年以前の契約もある場合、旧制度の方が、控除額が大きいのは魅力ですね?

旧制度の契約については、引き続き旧制度の適用を受けるように選択することも可能です。
旧制度での保険契約で年間10万円保険料を払っていれば、所得税5万(住民税3万5000円)と、なることはなるのです。

そして、一般の生命保険料や個人年金保険料の平成23年以前の契約で旧制度を適用しようとして、さらに平成24年以降加入した介護医療保険で新制度の適用を図ることもできます…が。

しかしながら、旧制度の一般の生命保険料控除、個人年金保険料控除の最高控除額を適用しても、新制度と合わせて所得税の控除枠は12万円(住民税7万円)となります

「旧制度の一般生命保険と個人年金で5万円と5万円、新制度の介護医療で4万円だから合計14万円」とはならないのです。

住民税も、旧制度と新制度をとりまぜて合計して9万8000円になっても、合計額の最高額7万円までです。
以下の生命保険文化センターの記事に例が上がっています。

【出典】生命保険文化センター:新旧の生命保険料控除制度を併用したときの適用限度額
http://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/tax/tax_q16_a.html
【出典】国税庁:No.1140 生命保険料控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm
(国税庁のページの2(4)にも「12万円を超える場合には、生命保険料控除額は12万円となります」とあります)。

また、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除それぞれの枠内で、旧制度と新制度の契約を合計することもできます。

次の4で述べますが、
この場合は、それぞれその枠で、最高所得控除額は所得税4万円(住民税2万8000円)です。

4.生命保険料控除額の算出方法(最高額より小さい場合)

ここまで、「所得控除の最高額」について述べてきました。
実は、控除額は年間の保険料に応じて異なります

上記では、一般の生命保険料と個人年金、医療介護保険のそれぞれ、新旧の制度の違いをざっくりご理解いただきたかったので、細かな説明をここまで後回しにしていました。
また、保険加入の目的にもよりますが、年間8万円以上払っている人が多いだろうと思ったのもあります。

年間の保険料が8万円以下の人(旧制度では10万円以下)は、それぞれ下の計算式で決まった額が控除額となります。
若い人が安めの医療保険に入った場合などは、この計算式になりそうですね。

●新契約の年間の支払保険料等と控除額の関係
20,000円以下→支払保険料等の全額
20,000円超40,000円以下→支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超80,000円以下→支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超→一律40,000円

●旧契約の年間の支払保険料等と控除額の関係
25,000円以下→ 支払保険料等の全額
25,000円超50,000円以下→支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超100,000円以下→支払保険料等×1/4+25,000円
100,000円超→一律50,000円

国税庁:No.1140 生命保険料控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm

一般の生命保険料控除と個人年金の枠で、新契約と旧契約とを合計する場合
旧契約が6万円以上あるかどうかが分岐点です。

旧契約が6万円以上だと、新契約の方で計算すると6万円×1/4+2万5000円=4万円を超えてしまうので、旧契約の適用をした方がお得です(最高5万円までOK)。

上掲の国税庁サイトでも、そう計算するよう書いてあります。

旧契約が6万円以下なら、旧契約での計算結果と、新契約の計算結果を合計します。最高額が4万円であるのは上で述べてきたとおりです。

また、3枠合わせた場合の合計額が12万円までなのも、これまで述べてきたとおりです。

※住民税についてなど、生命保険文化センターの税控除についての説明は↓にあります。
【参考】生命保険文化センター:税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」
http://www.jili.or.jp/knows_learns/basic/tax/premium.html

まとめ

実はこの旧制度と新制度、私が夫の年末調整に向けての書類作成で質問されて、自分の理解があやふやだったことに気づきました。

今回の記事でも取り上げましたが。
旧制度と新制度の選び方によっては、最大14万円にならないの?と漠然と思っていたのです。

旧制度の契約がある場合、旧制度の控除額が5万円だったメリットを活かせるような規定は残っています。
ただ、新制度も混在すると、全体としては所得税12万円、住民税は7万円までということは明確に規定されているので注意が必要です。

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