コロナ後新常態にお礼品を活用。ふるさと納税の上限額の計算方法

ふるさと納税

コロナ後の新しい生活様式として通販の利用が提唱されています。ふるさと納税でも通販のような手軽さで、実質2000円の負担で各自治体のさまざまなお礼品を入手できます。ただ、この負担で済むには上限があることが要注意です。

1. 良くも悪くも通販なみの利便性

「ふるさと納税」を一言で説明するのは難しいものがあります。
制度の成り立ちや趣旨より、「お礼品」についての情報が気になる方も多いと思われるからです。

ユーザーというか消費者というかの立場から乱暴にまとめると…。
「2000円の負担で各地方自治体からお礼品が貰える」ことになります。
(制度の趣旨などは、この記事の「まとめ」からリンクを貼ってあります)。

具体的な手順もほぼネット通販に近いです。
各自治体が”出品”している「ふるさと納税」のポータルサイトでは、例えば「お米」を貰いたい場合、お米を「ふるさと納税」のお礼品としている自治体を検索することができます

「ふるさと納税」のお金の支払いも、ネット通販同様クレジットカードやコンビニ決済が利用できます(具体的にはサイトによります)。

例えば。
その自治体にポータルサイトで1万円お金を払うと、5kgのお米が送られてきます。
本当に手順はほぼ通販と同じです。

もちろん、5㎏のお米に1万円を払うくらいならスーパーで買った方が安いです。
では「ふるさと納税」がお得だというのは何故なのか
「ふるさと納税」では自治体に払ったお金のほとんどが、手続きをすることで戻ってくるのです(税がお得になります)。

自治体に支払ったお金のうち、2000円を除いた残りの額は、確定申告等の手続きをすると、所得税や住民税が安くなります。
大雑把に言えば、1万円支払っても、8000円は所得税と住民税が安くなることで戻ってくるのです。

もう少し金額が大きくても同じです。
1年を通じ、あちこちの自治体から「お米」「水」「肉」「魚」をお礼品と受け取り、そのために5万円支払ったとしても「5万円-2千円=4万8千円」は所得税や住民税でもどってきます。
そのため「実質2000円で各地の名産品を手に入れる」ということになります。

ただし、この金額には上限があります
給与収入や家族構成によっては、年間で7000円や15000円、19000円が上限ということもあります(下記の総務省のサイトに目安があります)。

【参考】総務省:ふるさと納税のしくみ
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html

「ふるさと納税」の上限額を超えてしまうと、税金が返ってこないことも起こります。
すると「1万円でお米5㎏を買う」という“高い買い物”をしてしまうことになります。

コロナの後の「新しい生活様式」では通販の利用が推奨されています。
通販なみの利便性がある「ふるさと納税」ですが、上限額を知らなければ思わぬ損失も起こります。
今回の記事では「ふるさと納税」の上限額をご説明します。

2. 上限の計算方法

総務省のサイトにも目安がのっていますし、「ふるさと納税」ポータルサイトで詳細なシミュレーションができるようにもなっています。

ただ、これらを使いこなすために「ふるさと納税」についてしくみを理解しておきましょう。

自分がなぜ、どのような数字を入力しないといけないかを知るためです。

2.1 ふるさと納税で税が戻ってくるしくみ

「ふるさと納税」は、納税という言葉を使っていますが、正確には「寄付」です。
税については、寄付をした人を優遇する規定があります。
これが「ふるさと納税」の土台です。
一般の寄付についての制度に、特例が積み重なっているので、まず寄附金についての一般論を押さえておきましょう。

寄付をすると、寄附金から2000円を引いた額に対して、所得税と住民税が安くなります

つまり。

  • a 「寄附金-2000円」×所得税率(復興特別所得税含む)
  • b 「寄附金-2000円」×住民税率(所得割。一律10%)

この金額分、所得税と住民税が安くなります。

普通の寄付でも「寄附金-2000円」の「所得税率+10%」は税がお得になります(所得控除の場合)。

例えば、所得税率が20%の人が5万円寄付をすると、4万8千円の20%+10%=30%がお得になります。
4万8千円の30%は1万4400円。税はこれだけ安くなるので、5万円寄付をしても、実質的な支出は3万5600円で済むことになります。

寄付については過去に記事にしたことがあります。

寄附金いくらにしよう?恥をかかずに済むための寄附金控除の基礎知識
寄付をするとき、どんな金額にするか迷いますよね。世間体と懐具合とのすり合わせに気を遣います。ただ、寄付によっては税金がお得になる制度もあります。これを上手に使えば、比較的少ない実質負担で、まとまった額の寄付も可能となるのです。 1. 寄付...

自治体に寄附をする「ふるさと納税」は、基本分に加え特例でさらに税が安くなります
この「ふるさと納税」の特例分が大きいんです。
「寄附金-2000円」の100パーセントが戻ってくるようになっています。

つまり、「ふるさと納税」で寄付をすると、上のa.bに加え
c 「寄附金-2000円」×(100%-所得税率-10%)
この金額も住民税がお得になります。

所得税率がいくらであっても、cの部分で最終的に「寄附金-2000円」の100%が「税の値引き」で戻ってくるという計算になるのです。
(地方税の調整控除や端数処理など細かいところは省いています)

しかし、このa、b、c にはそれぞれ上限があります。

2.2 課税対象額の2割がカギ

「ふるさと納税」では、a所得税b住民税(基本)c住民税(特例)で税金が安くなります。
このa、b、cごとに上限が決まっており、特にcが問題です。

  • a所得税についての上限は「総所得金額等の40%」
  • b住民税(基本)についての上限は「総所得金額等の30%」
  • c住民税(特例)についての上限は「住民税所得割額の2割」

この3つの上限のうち、最も金額が低いのは普通はcの「住民税所得割の2割」です。

今年の住民税所得割額が決定するのは1年がたった後ですが。

前年の数字が参考になるなら、毎年6月頃に配布される「住民税決定通知書」を使います。
市区町村民税と都道府県民税の「税額控除前所得割額」を合計したものが、「住民税所得割額」です。

コロナ禍で収入(所得)が大幅に減るのなら「総所得金額」「住民税所得割額」も変わります。
前年額ではなく今年の額で考えましょう(後でも少し述べますが、いずれ別記事を書く予定です)。

3. 「住宅ローン控除」や「iDeCo」と併用すると…。

「ふるさと納税」以外にも、「税がお得になる」制度はいくつかあります

「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の掛金は全額、課税対象額から外すことで節税になります。
「医療費控除」も、一般的に10万円を超えた額が課税対象から外れます。
「ふるさと納税」の所得税や住民税の基本分もそうなっています。

課税対象から外れることで節税となるしくみを「所得控除」といいます。

「住宅ローン減税」や「ふるさと納税(特例分)」は、一度決まった税額から直接差し引きます。

税額そのものが減るものを「税額控除」といいます。

ここで挙げた「個人型確定拠出年金(iDeCo)」「医療費控除」「住宅ローン減税」それから「ふるさと納税」、どれも全部併用しても制度上は問題ありません
問題はないのですが、併用することで計算の前提が変わることがあります

まず、所得控除で課税対象額が減ると「ふるさと納税」の上限額の計算が変わり、下がってしまいます。
(cの「住民税所得割額」が小さくなるからです)

もっとも、それぞれの節税策による効果や「お礼品」への満足度もあるので、一概に損得は言えません。
また、個人型確定拠出年金(iDeCo)は老後のためという目的があるので、「ふるさと納税」の上限額のために止める必要はありません。
ただ、知らないうちに「ふるさと納税額」上限を超えていて“高い買い物”をしないよう注意しましょう。

「ふるさと納税」で所得税の所得控除をすることで所得税の金額が下がり、住宅ローン控除の節税枠を使い切れないということも起こりえます
「ふるさと納税」のポータルサイトでのシミュレーションでは、住宅ローン控除を加味してシミュレーションできるようになっているところもあります。

4. コロナ禍で要注意?「今年の所得」で計算を!

所得が変わると、前提条件が大きく変わってきます
「総所得金額等」「住民税所得割額」が変わるからです。
すると、「ふるさと納税」の上限額が変わります

前年と同じ前提で「これくらいはふるさと納税しても、2000円でお礼品が貰えるはず」と思っていても。
上限額が低くなってしまったために、上限をオーバーして”高い買い物“になる恐れがあります。

お礼品で「お米」「お水」などの家計に必要なものが節約できるので、収入が減ったときにも、「お得な家計の節約」として、つい「ふるさと納税」を考えてしまうかもしれませんが。
上限があるのだ、ということは常に意識しておきましょう。

コロナ禍で働き方が大きく変わった人は、変わった後の所得でシミュレーションすべきです

なお、所得が変わらなくても家族構成が変わると「総所得金額」「住民税所得割額」が変わります。
こちらも変化があれば、シミュレーションしなおしておきましょう。

まとめ

通販のような手軽さで各地の名産品が手に入る「ふるさと納税」
コロナ禍の後の「新しい生活様式」で通販を利用することが推奨されていますので、これを機に始める人もいらっしゃるかもしれません。

「ふるさと納税」では、2000円を超える出費は税の値引きで戻ってきます。
「納税」という言葉ですが、制度としては「寄附金」に対する控除です。
ただし、値引きで戻ってくる金額には上限があります。

「ふるさと納税」の上限は、所得(所得に対する「住民税所得割額」)で異なります。
年収と家族構成で大まかな目安は分かります。

他の節税策も併用すると、それぞれに計算に影響を与えることがあります。
また、前年と所得が大きく変わると、上限額も変わります。

寄附金控除で税が値引きされることを最優先にするなら、上限額についてはきちんと把握しておく必要があります。

なお、この記事では「通販感覚で利用するなら上限に注意」という内容の記事を書きました。
しかし、「ふるさと納税」の趣旨は別にあります。

日本では、生まれ育った自治体から大人になると都会へ出る人が多いですよね。
その場合、その人が育つのに地元の自治体の税金が使われるのに、大人になってから納税するのは都会のある自治体です。
そのような事態に対し、大人になった人が「ふるさと」へ寄付できるようにしようとするのが制度の趣旨です。
(必ずしも出身地に限定されないので、災害の被災地支援で利用されることもあります)。

「お礼品」は寄付に対するあくまで「お礼」の気持ちであって、「お礼品」で寄付を呼び込もうとか、「お礼品」で寄付先を選ぶとかは…ちょっと微妙な問題です。そのため2019年にちょっと問題になりました。

この辺について過去に記事にしています。良かったらお読みくださいませ。

米代など食費を節約するなら…ふるさと納税の活用を!2019年以降も大丈夫!
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