医療費控除の基礎の基礎。どうして?どうやって?どれくらい得になる?

医療費

冬になるとマスコミやネットに、医療費控除の情報が出回ります。医療費がかかった年は税がお得になる制度ですが、紙幅の都合で基本的な説明が不足気味のこともあります。この記事では、今さら聞けない基礎の基礎をご説明します。

1. 医療費のかかった人から重い税を取るのは気の毒

所得税は1年の所得についてかかりますが。

その年に多額の医療費を支払った場合、税が安くなる可能性があります。

確定申告などで「医療費控除で税がお得に」「税を取り戻そう」と言われるものです。

医療費控除はどのような制度でしょうか。
すごーく単純に言えば「医療費を多く支払った人に重い税は担えない」から、税の負担を軽くする制度です。

実は所得税には、医療費がかかったかどうかを含め、個人の事情によって課税対象額を低くしてくれる仕組みがあるのです。

1.1 納税で個人の事情を汲んでくれます(所得控除)

所得税は、所得に掛かりますが、誰でも同じ所得なら同じ税の負担が適切だと限りません。
税金は、その人の税を担う能力に応じて決まるべきであり(応能負担)、これが人それぞれだからです。

偉ーい先生の立派な教科書には以下のように描かれています。

「同じ500万円の所得があった人でも独身で親に扶養されており所得金額を自分の趣味に使うことができる人もいれば、家族を扶養し、所得の大半が家族を養うために消えてしまう人もいる」
「よくわかる税法入門 第13版」三木義一編著 有斐閣

扶養家族がいるとか、社会保険料を負担したとかの事情がある人は、課税所得から一定額を差し引くことで税の負担を軽くします

家族に病人が出て、医療費をたくさん支払ったというのも、「税を軽くしてあげよう」という事情に当てはまります

このように個人の事情によって税の負担を軽くする制度を「所得控除」といい、その中の一つに「医療費控除」というものがあるのです。

1.2 所得控除のうち、会社で行うもの行わないもの

所得控除には14種類ありますが、普段意識しないものも多いでしょう。
(詳しくは下記に挙げておきます)

というのは。
所得控除も含めた計算を勤め先の企業が行っているからです。

給与を支払う企業は、給与から税金を徴収して納税する義務があります。
源泉徴収ですね。
この時、納税額に、勤めている社員の所得控除も反映させているのです。

毎年、会社に家族構成(配偶者や子供など)、生命保険の加入状況を届けることになっていますよね。

勤め先企業は、社員からの届出に基づいて主な所得控除を行っています。
(配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、生命保険料控除など)

ただ、医療費控除や雑損控除、寄附金控除は個人が行うことになっています。
具体的には、後で述べるように翌年の3月15日までに確定申告を行います。
※雑損控除は災害や盗難などで損害を受けた場合などです。

給与から源泉徴収で税金を納めている人は、医療費控除が反映されていない状態で計算された税額を納めています

確定申告で医療費控除の手続きをすることで、課税対象額が低くなり、納めすぎていた税金が返ってくることになっています。

※14種類の所得控除とは
雑損控除、医療費控除、寄附金控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除

【参考】国税庁:「所得から差し引かれる金額」(所得控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/01/1_04.htm

2. 確定申告で必要なこと

確定申告には、確定申告の書類と、医療費控除を受けるためにかかった費用の明細書が必要です。

明細書は書式が決まっています。

国税庁からPDFで配布されているので、それをプリントアウトしてもいいです。

また、国税庁サイトの確定申告書作成コーナーで、確定申告全体の書類を作成することもできます。
画面の案内に従って必要事項を入力すればいいのでラクですよ(←我が家が毎年これで作成しています)。

「医療費控除の明細書」には、もちろん「医療費をいくら支払ったか」を記入しますが、情報の出どころによって2カ所に分かれます。

加入している医療保険(健康保険組合など)から、「医療費通知」を受け取っているなら、その通知書の内容を記載する欄があります。

「医療費通知」以外に、医療機関や交通機関の領収書を基に記入するなら、医療費通知以外の明細を記入する欄があります。

医療費通知以外の明細には、「医療費を受けた人の氏名」「病院などの支払先の名称」「金額」などを記入します。

医療費控除を受けるには「レシートを集める」作業が必要なんですが。
2018年に大きな変更がありました。

レシートそのものを提出する義務は2018年に無くなりました。
ただ、いつでも問い合わせに応じられるよう、自宅で5年間の保存義務はあります

明細作成時に手元において置いたレシート・領収書は捨てずに5年間とっておきましょう。

医療費控除の対象として認められる範囲は…とても細かい決まりがあります。

根拠となるのは所得税法第73条なのですが、この文言からどれが当てはまってどれが当てはまらないか問題です。

詳しくは別の記事にします。

【出典】所得税法73条(医療費控除)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=340AC0000000033
【参考】国税庁:タックスアンサーNo.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

3. いくらお得になるの?

医療費控除は、多くの場合10万円以上の出費があるときにお得になります。

正確には、その年に支払った医療費の総額(家族全員の分を足してOKです)から、保険金などで補てんされる金額を引きます
保険などでカバーできなかった実質的な負担額ですね。

この実質的な負担額から10万円を引いた額が医療費控除の対象です
(10万円より総所得金額×5%の方が小さければそちらを引きます)。

30万円の医療費を支払い、15万円保険金を受け取ったら、実質的な負担は15万円。
医療費控除の対象は15万円-10万円(総所得金額等の5%より小さい場合)の5万円です。

その年1月1日から12月31日に実際に支払った金額が対象で、未払いの分は実際に払った年にカウントします。
(年末に請求書が来ても支払いが翌年なら、医療費控除の対象となるのは今年ではなく翌年)。

医療費控除は、所得控除の一つでしたね。
所得控除は課税対象額を小さくする仕組みです。

税金の額は課税対象額×税率です。

所得控除でお得になる金額も、目安としては所得控除の対象額×所得税率です(実際には少し異なることもあります)。

ですから、5万円の医療費控除が認められた場合。
所得税率が10%の人は5万円×10%=5000円、所得税率が20%の人は5万円×20%=1万円、所得税がお得になります。

まとめ

医療費がかかった人が、税の負担が少なくなるのは、医療費控除というしくみがあるからです。

この医療費控除は、個人の事情に応じて課税対象額を低くする所得控除の一つです。

普段、会社を通じて医療費控除が反映されていない額を納税しているので。
医療費控除で本来の税金の負担が少ないはずの人は、会社を通じて余分に税金を払っていることになります。

医療費控除の手続きは個人が確定申告することで行われます。
領収書事態の提出は無くなりましたが、それを基に明細書を作成しますし、5年間保存の義務はあります。

確定申告後、納めすぎた税金が戻ってきます。
多くの場合、かかった医療費(保険金などで補てんされた分を除く)から10万円を差し引いた額が医療費控除の対象額です。

この金額に、所得税率を掛けた金額が還付されることになります(目安です)。

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