医療費控除の対象は?診療科・費目別に間違えやすいポイントを解説

病気とお金

医療費の支出が多かった年は、税の負担が軽くなります(医療費控除)。ただし、この制度に当てはまる「医療費」かどうか、その線引きには意外なものもあります。この記事では診療科・費目別に間違えやすいポイントをご説明します。

1. 医療費と思われるものでもNGなことも

医療費控除で認められる支出は、必ずしも一般に「医療費」と考えられるものと同じとは限りません。

自分の家計簿に医療費と分類したくなる費用でも、医療費控除の対象でないこともあります。
一方。
あまり「医療費」というイメージがないものが、医療費控除の対象とされることもあります。

税に関する制度ですので、国税庁の方で細かく決まっているのです。
以下で詳しく見ていきましょう。

※項目ごとに出典を記載していないものは、国税庁サイトの医療費控除全般を説明した箇所に拠っています。

【出典】国税庁
医療費を支払ったとき
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/04_1.htm
No.1122 医療費控除の対象となる医療費
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
No.1122 医療費控除の対象となる医療費
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122_qa.htm

2. 内科など医療全般

内科や他の診療科も含め、医療全般について、ご説明します。

2.1 健康診断の費用は原則対象外(例外アリ)

健康をチェックする健康診断。
これは原則として医療費控除の対象とはなりません。
しかし!この健康診断で重大な疾病が見つかると控除の対象となります。

といいますのも。
健康診断そのものは治療ではないので、医療費控除の対象となりませんが

疾患が見つかって健康診断から引き続き治療に入ると、「治療に先立って行われる診察と同様に考えることができ」るため、医療費控除の対象となるのです。

メタボリックシンドロームに係る特定健康診査から、健康指導に進んだ場合も、それが医師の指導によるものなら医療費控除の対象です。

健康診断は医療費控除の対象外が原則とはいえ、検査結果によっては対象となり得るので、結果が出るまで領収書は保管しておきましょう。

2.2 薬品代

医師の処方した薬はもちろん、市販の風邪薬などを購入した場合も医療費控除の対象です。

薬品店で購入しても、病気の予防や健康を維持するためのビタミン剤などは対象ではありません。

予防目的はダメという点では、予防接種も対象外です。
結構お高いのですが…。

市販薬の購入費用については、令和3年まで1万2000円以上で対象となり得る「セルフメディケーション税制」という制度もあります。

ただし一般の医療費控除かセルフメディケーション税制か、どちらかの制度を選ぶことになります。

2.3  通院費

医療費控除の対象として通院のための費用も認められますが、その範囲には決まりがあります。

確実に認められるのは公共交通機関を利用した場合で、これは領収書も必要ありません。

一方、認められないとされているのが、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場などです。

医療費控除の対象となる通院費は、「人的役務」を対象とするからです。
バスや電車の運賃などは、運転している人や会社への手間賃のようなもので「人的役務」への対価ですが、自家用車での通院の費用は「人的役務への対価」とはされないのです。

【出典】国税庁:自家用車で通院する場合のガソリン代等
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/50.htm

タクシー代は原則としては医療費控除の対象とはなりませんが。
公共交通機関が使えない場合には、対象として認められる可能性もあります。

通院費は本人だけで、付き添いの人の分は認められないのが原則です。
ただ、本人が小さな子供などの場合で、本人一人では危険なため付き添いが必要なときには医療費控除の対象と認められます。

【出典】国税庁:患者の世話のための家族の交通費
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/20.htm

2.4 医師(歯科医師)以外でも対象になることも

医療費控除の対象は、医師・歯科医師の診療や治療に対して支払うもののほかにも、一定の場合に認められます。

保健師や看護師などによる療養上の世話や、助産師による分娩の介助費用などです。
ただ、同じお世話でも、親戚に頼んで謝礼を払った等の場合は対象外です。

また、下記の整形外科の項目で述べますが、「はり・きゅう・マッサージ」などを専門にしている人の施術が対象となることもあります。

3. 眼科の費用

近視の人にとっては大きな出費となるメガネ代。
残念ながら、普通の近視用メガネの購入費用は医療費控除の対象ではありません
日常生活に必要であっても、そのメガネをかけることで視力の回復にはならず、治療ではないからです。

メガネの種類によっては、治療の一環として使われるものもあります。
このような医師の指示で使用するメガネなら認められます。
(手術後の機能回復のためや、幼児の視力を発達させるためのメガネなどです)

また、近視についてレーシック手術やオルソケラトロジー治療(角膜矯正療法)は、医療費控除の対象です。
これは医学的な方法で目の機能を正常に回復させるものだからです。

【出典】国税庁:No.1122 医療費控除の対象となる医療費
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122_qa.htm

4. 整形外科、はり・きゅう・マッサージの費用

治療を受けるのに必要な松葉づえ、義肢・義足は医療費控除の対象です。

また、「あん摩マッサージ指圧師」「はり師」「きゅう師」「柔道整復師」の有資格者による施術も医療費控除の対象です。

ただし、リラックス目的や体調を整えるといった目的のマッサージは対象ではありません。

5. 歯科の費用

国税庁のサイトによると、「一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なもの」は対象外とあります。

具体例として、金やポーセレンを使ったものは「一般的」でOKとされています。
あとの個別の判断は税務署など専門家に問い合わせた方が無難でしょう。

歯の矯正については、見た目の美しさを求めてのものは医療費控除の対象外です。
小さな子供の不正咬合の歯列矯正のように、年齢や目的によっては対象となることもありえます。

歯科の費用をローンで払うこともありますが、医療費控除の対象となる年はいつになるでしょうか。
この場合は、ローン会社(信販会社)が歯科にあなたの治療費を立て替え払いしたとき=歯科ローン契約が成立したときです。

【出典】国税庁:No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm

6.産婦人科(出産)の費用

妊娠と診断されて以降、定期検診や他の検査費用などは医療費控除の対象です。

通院費用も上記同様に医療費控除の対象になります。
出産のための入院で公共交通機関が使えない場合のタクシー代もOKです。
突然の陣痛などですね。

【出典】国税庁:病院に収容されるためのタクシー代
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/21.htm

ただ、里帰り出産で実家に帰るための交通費は対象外です。

出産そのものは、医療保険から出産育児一時金が支給されるため、実質的な負担が少なく医療費控除の対象となりづらいかもしれません。

とはいえ、他の家族の医療費と、検査代や通院費を合計すると医療費控除の対象となりえますから、領収書などは残しておきましょう。

7. 入院時の費用

入院したことに伴う費用で、医療費控除の対象となるのは食事代です。

差額ベッド代については、本人や家族の都合のものについては認められません。

付添人については、上述の保健師や看護師の療養の世話と同様に、その料金が医療費控除の対象となります。
ただ、きちんと決まった料金に限られ、心づけなどは対象外です。
そして親戚などへの謝礼は対象外です。

【出典】国税庁:No.1126 医療費控除の対象となる入院費用の具体例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1126.htm

まとめ

以上のように、医療費控除の対象となるかどうかの線引きは細かく決まっています。
FPの資格試験でもよく出題されます。

私の個人的な感覚では、「毎冬のインフルエンザ予防接種は家計簿で医療費にしているんだけどなー」と、対象外なのがちょっと不満です。

自家用車で子供を通院させているご家庭もご不満かもしれませんね。

医療費控除は、家庭で出来る節税法として身近ですが、事細かに範囲が決まっています。
「あれ?」と思ったら、この記事や、この記事でご紹介した国税庁のサイトなどを参考になさってくださいね。

なお、税についての相談窓口の過去記事は↓以下にあります。

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