確定申告の還付の理由。そももそも源泉徴収はなぜ納めすぎなのか?

給与袋と電卓

サラリーマンが一定の理由で確定申告をすると税金が還付されます。なぜなら、年間を通じた月々の源泉徴収税額が「払い過ぎ」になってしまうからです。では、そもそも源泉徴収税額とはどう決まるのでしょうか。この記事では「税額表がそうだから」より踏み込んで検証してみます!

1.源泉徴収税額が多いと年末調整・確定申告で還付されます。

当サイトもそうですが、マネー系の情報があちこちで発信されています。
みなさんも「確定申告すれば税金が返ってくる」と見聞きされたことでしょう。
医療費がかかった年や、ふるさと納税をした年などですね。

「返ってくる」のは、本来の税額より多く払い過ぎていたからです。
この税金の納めすぎはどうして起こるのでしょうか。それは、お給料から天引きされる源泉徴収税額が多すぎたからです。

では、そもそも、その源泉徴収額はどのように決まっているのでしょうか。

詳しくは2で述べますが、源泉徴収税額は月々いくらと決まっています
毎月、決まった額が天引きされています(給与明細にも記載されているはずです)。

この月々の源泉徴収の額と、年間を通じた本来の納税額とでズレがあり、そのズレが勤め先企業で計算してくれるものなら年末調整で精算してくれます。ここで月々の源泉徴収が納めすぎなら還付されます。

また、医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税など)は企業では計算してくれないので、自分で確定申告します。その結果、源泉徴収税額が納めすぎなら還付されることになります。

2.源泉徴収税額の決まり方

税金は1月1日から12月31日までの所得にかかるものです。12月31日時点でないと本来の納税額は確定しません

ところが、源泉徴収はその年の1月のお給料から既に天引きされています
1月2月3月…と毎月その月の給与に応じて月給から差し引く源泉徴収税額が定められています。
この月々の源泉徴収税額が一定の前提で決まっている概算値であるために、本来の納税額とズレが生じるのです。

2.1 税額表で決まっています

では、その月々の源泉徴収税額はどう決まるのでしょうか。

ネットで「源泉徴収税額 計算」などで検索しても、出てくる情報は結局「国税庁の『給与所得の源泉徴収税額表(月額表)』で決まっているから」という点に行きつきます。

【出典】国税庁:給与所得の源泉徴収税額表(月額表)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2020/data/01-07.pdf

実際、国税庁のサイトでも以下のような記述があります。

給与等を支払うときに源泉徴収をする所得税及び復興特別所得税の額は、給与所得の源泉徴収税額表(月額表及び日額表)」又は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」(以下これらを「税額表」といいます。)を使って求めます。

【出典】国税庁:No.2511 税額表の種類と使い方https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2511.htm

税額表の見方を簡単にご説明します。

税額表は通常甲欄を見ます(甲欄は扶養家族を届けている場合に用います。普通は勤め先が一ヵ所でそこに扶養家族について届を出しているでしょう)。

税額表の、横の「扶養家族の人数」と縦の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が交わった欄が、あなたのその月の源泉徴収税額です。

では、そもそもこの税額表に載っている数字。これってどう決まっているのでしょうか?
次で、その数字の出し方を検証していきます。

※上記の引用文にもありますが、月々の給与と賞与とでは使う税額表が異なります。退職金や報酬などの源泉徴収税額も扱いが異なります。この記事では月々の給与について述べています。

2.2 税額表を検証してみました!

この源泉徴収税額について、やや詳しい説明でも「毎月その給与で一年変化が無いことを前提とした概算値である」くらいしか情報が見当たりません。

そこで、当サイトでは私が手計算で検証してみます!

税金の決まり方は、収入から経費を引いて所得を求めます。給与収入については給与所得控除として差し引ける”経費”が決まっています。
その所得からその納税者の事情に応じた所得控除を引いて課税の対象となる所得額を求めます(税額控除など細かい点は割愛しています)。

所得控除には15種類ありますが、誰にでも当てはまるのが「基礎控除」、そしてサラリーマンは社会保険料をほぼ確実に払っているので「社会保険料控除」があてはまります。また、勤め先企業に扶養家族の届けを出しているので、「扶養控除」も加味されているでしょう。

収入と所得、税の関係については過去記事で詳しく述べています。

「○○控除で税がお得になる」ってどういうこと?納税額の決まり方
年末調整や確定申告に向けて「税をお得にする裏ワザ」などの情報があふれる季節です。ここでは、表面的な「裏ワザ」だけでなく、もともとの課税の仕組みをご説明します。これを知ると、いわゆる裏ワザも理解しやすくなり、さらにご自分に最適な節税方法も見つ...

この記事では源泉徴収税額について、次の仮説を立ててみます。
つまり「月々の源泉徴収税額は、『その給与の額が一年間を通じて変わらないものとした場合の年収』から『基礎控除』『社会保険料控除』『扶養控除』を引いたうえで税額が決まっている」という仮説です。

それでは検証してみましょう。

例として扶養家族0人の場合で「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が16万円前後のケースを取り上げます。

「税額表」では、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が15万9000円~16万1000円であれば月々の源泉徴収税額は3340円です。

では、15万9000円の場合を計算してみます。

今立てている仮設では、課税対象となる金額は「収入-給与所得控除(経費)-基礎控除-社会保険料控除-扶養控除」です。
ただ、「収入-社会保険料控除」はここでは15万9000円と決まっています。その年額は15万9000円×12カ月分=190万8000円です。

この金額を仮に年収だと考えると、給与所得控除は65万2400円となります(あくまで仮です。実際には社会保険料も込みの年収ですから控除額は大きくなるでしょう)。

【出典】国税庁:No.1410 給与所得控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm

基礎控除は一律48万円と決まっています。

【出典】国税庁:No.1199 基礎控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm

すると課税対象となる所得は190万8000円-65万2400円-48万円=77万円5600円です。

所得税および復興特別所得税は、この金額では5.105%となります。
すると、年間の税額は3万9594円となります。
これを12カ月で割ると1カ月あたり3299円となります。

同様の計算を16万1000円で行うと、1カ月あたりの税額は3371円です。

15万1000円から16万1000円の人の源泉徴収税額が3340円というのは、以上の計算結果と概ね一致しています。

むしろ、給与所得控除の計算の際の年収は、実際には社会保険料を控除する前の金額なのでもっと大きいハズで、その分給与所得控除も大きく、その結果として税負担は小さくなるハズです。

ですから、この分、やや高めに月々源泉徴収されているとも言えるでしょう。

ともあれ、ここで立てた仮説=「月々の源泉徴収税額は、『その給与の額が一年間を通じて変わらないものとした場合の年収』から『基礎控除』『社会保険料控除』『扶養控除』を引いたうえで税額が決まっている」はほぼ検証できたかと思います。

※社会保険料込みの年収を考慮しなかったのは、社会保険料が人それぞれだからです。概ね15%前後だろうと思いますが、勤め先によって年金保険料や健康保険料はばらつきも多いので……この記事では社会保険料を控除した額の12倍を年収として仮の計算を行いました。

3.源泉徴収税額の決まり方から考える還付のしくみ

上記で検証したように、源泉徴収税額「その月収が毎月続くこと」「扶養控除が届出の人数であること」を前提にしています。「社会保険料控除」「基礎控除」も計算に反映されています。

反対に言えば、それ以外の事情は月々の源泉徴収税額では考慮されていません

ですから、月収が変わったり、扶養する家族が増減したりして年間の納税額が変わると調整が必要です。
これらの事情は、企業が把握していれば企業が年末調整で精算してくれます。

また、企業では生命保険料控除も行ってくれます。

毎年、年末調整に必要な届出がありますが、それは月々の源泉徴収税額とのズレを企業が精算するためのものなのなのです。
(退職して、その年の年末にどこの企業にも勤めていないと、年末調整してくれる勤め先がないので自力で確定申告です)

ところが、医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税など)は勤め先企業では行ってくれません。ですから、自分で確定申告をすることになります。

上で検証したように、源泉徴収税額は限られた前提で計算されたものです。
その限られた前提の中で決まった金額と、年間を通じた本来の納税額にはズレがあります。
その最終調整で会社がしてくれるものは会社が年末調整で行います。届け出る用紙がありますから、忘れず提出しましょう。

そして会社がしてくれない所得控除(ある場合は税額控除)は、個人が確定申告します。

まとめ

確定申告で税が還付されるのは、そもそも源泉徴収税額が本来の納税額より納めすぎとなっていたからです。

この源泉徴収税額は「税額表」により決まっています。

この記事では、この税額表で決められている税額が、「この収入が1年間続くこと」「扶養家族が変わらないこと」を前提に決められているということを、手計算で検証してみました。概ねその通りであり、給与所得控除を考えるとやや高めの金額だということが分かりました。

月々の源泉徴収税額と年間を通じて計算された納税額との差額は、企業が把握しているものは企業が行ってくれます。

ただ、医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税)など企業が行わないものは自力で確定申告です。

納めすぎというのは、源泉徴収税額が限られた前提で計算されたことから起こるのです。

 

 

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