「凪のお暇」凪は本当に2LDKに住めたのか?と話の必然性をFP的に考察

家計簿

漫画「凪のお暇」を私が知ったのは、某巨大掲示板で話題になっていたからです。そこで、疑問視されていたのが「凪は正社員時代本当に都心の2LDKに住んでたの?」という疑問。FPとして考察してみましたら…。

1.(おそらく)一流企業の正社員だった凪

ドラマ化もされて話題の漫画「凪のお暇」。

東京の、おそらく一流(メーカーらしい)の正社員だった、28歳女性の凪。

周囲の空気を読んでばかりの人生、モラハラ彼氏とも「自分を幸せにしてくれる切り札」だと思って別れられない、毒母からはずっと支配されっぱなし。

そんな彼女が、会社でモラハラ彼氏が自分に関して暴言を吐いているのを立ち聞きしてしまい、ショックのあまり過呼吸で倒れてしまう。

で。
仕事も人間関係も断捨離して「お暇」生活に入るというのがストーリーです。

これだけだと、「よくある自分探し」物語なんですが。
すごくリアリティがあるので、似たようなテイストの作品とも一線を画している内容。

人間関係の在り方や、そこでの心の動きについての描写もそうなんですが。
お金の面で、絶妙にリアルなんですよ…。

私がこの漫画を知るきっかけとなったのは、某巨大掲示板だったのですが。
そこで話題だったのが「大手企業の正社員とはいえ28歳OLの収入で2LDKに住めるのか否か」という問題でした。

前回、凪の失業保険(雇用保険)について考察してみましたが。

【「凪のお暇」の失業保険(雇用保険)はいくら?リアルに考えてみた】https://kurashiwomawasu.com/notes/naginooitoma-unemployment/

ついでに、この2LDK問題も考察してみました。
いやー。
ありそうで無い、無さそうであるかも…な微妙なラインで…。
(だから、某掲示板でもしばらくその話題が続いてたんですね)。

この絶妙なリアリティが、「凪のお暇」に、その他多くの「自分探しモノ」とは一味違う味わいを産み出しているのでしょうね。

2.凪の手取り月収を推察してみた

凪の年収を推測できるのに、5話目で出てきた「住民税が約15万円」という情報があります。
(「凪の具体的な年収などを知ってしまうと、お話が楽しめない」という人はここで読むの止めてくださいね)

前回も書きましたが、住民税は課税所得の約10%なので、課税対象額は約150万円でしょう(話を単純にするため所得割についてだけ考えています)。

凪は給与所得者なので、給与所得控除が受けられます。
それから、所得控除として基礎控除と社会保険料控除が受けられるでしょう。
前回の記事↓で、これらを一次方程式で計算すると、凪の年収は大体374万円であろうと推測できました。

【「凪のお暇」の失業保険(雇用保険)はいくら?リアルに考えてみた】https://kurashiwomawasu.com/notes/naginooitoma-unemployment/

さて。
給与の中から、税と社会保険料を支払った残りが可処分所得です。

先も述べたように住民税は15万円。
課税所得150万円だと、所得税率は5%で150万円×5%=7.5万円。

社会保険料は勤め先などで様々なんですが、FP的には概算するのに年収の15%とされています。
年収376万円×15%で56.4万円。

凪の可処分所得は374万-(15万+7.57万+56.4万)円=295.1万円。
この251.9万円の年間の可処分所得を、これを単純に12で割って、一月あたりの手取りとして考えると(ボーナスはここでは考えないことにします)。

月の手取りは24.5万円…ええい、約25万円としておきましょう。
さて、この月収で「都心の2LDK」が可能でしょうか?

3.2LDKが可能かどうか…絶妙にギリギリだ

庶民派FPとして有名な横山光昭さんの考えで、理想的な家計の配分を考えてみます。

私は2018年発行の著書を持っていますが、2019年に女性向けメディアで発表された数字の方が最新版かつ女性向けなので、そちらを使わせていただきます(微妙に数字が違います)。

【引用元】「サンキュ」:横山光昭さん直伝!貯めてる1000人からわかった 絶対貯まる「家計の黄金比率」とは?
https://39mag.benesse.ne.jp/money/content/?id=18427

凪のお金が貯まる健全な家計運営は以下のとおりです。

費目 月手取り25万円
住居費 25% 62500円
食費 14% 35000円
水道光熱費 7% 17500円
通信費 2% 5000円
生命保険料 5% 12500円
日用品代 2% 5000円
医療費 1% 2500円
教育費 3%
7500円
交通費 2%
5000円
被服費 3%
7500円
交際費 2%
5000円
娯楽費 2% 5000円
小遣い 10% 25000円
お酒・たばこ 1%
2500円
その他 4%
10000円
預貯金 17%
42500円
100% 25万円

ところが。
凪の場合、自分だけでなく周囲と地方住まいの毒母に対して「東京できちんとしている」という見栄を張らなくはなりません

ここで外せないのが、「都心の2LDKに住むこと」「母親に月3万円仕送りすること」です。

後者の母への仕送りは、凪のモノローグで「東京でしっかりしているから心配&干渉しないでね料を削るわけにはいかない」ともありますしね(第5話)。

さて。都心で2LDK…これだけで凪の月収は吹き飛びそうなんですが…。

相場を知るのに「都心 2LDK 家賃」とGoogleで検索してみて最初に出てきたサイトによると(シークレットモードで検索しましたよ)…。

【参考】CHINTAI 東京都の家賃相場情報。住みたい地域の賃料・平均家賃を検索して賃貸の部屋探し
https://www.chintai.net/rent/tokyo/area/2ldk/

もちろん港区は29万円!だったりするのですが。
中野区・杉並区は15万円台、板橋・練馬・足立・葛飾・江戸川区なら10万円から13万円の間となっています。
(管理費などはなし)

私は東京に2年しか住んだことが無いので、「都心」のイメージが今一つつかめないのですが。
中野・杉並区はわりと良いイメージがありますし、それ以外の区も沿線などによるでしょう。

管理費込みで12万円くらいの予算で上手く探せば、凪と毒母の満足する2LDKが見つかるのではないかと思います。

それでは、家賃12万円と母への仕送り3万円を必須とした場合の凪の家計を考えてみます。
この2費目ですでに15万。
医療費とか削れない部分は、上記の横山光昭さんのパーセンテージのまま。

食費については、凪なら自炊と節約料理・昼食はお弁当で3万円から2万円に減額可能だと思います。
同僚とのランチに行かないとイケナイので、交際費5000円としました(月に2回2000円~2500円のランチに行くと仮定)。

水道光熱費について。
凪が節約凄く頑張っているのは描写されていますし、実際に相対的には安く済んだ場面も出てきますが。
いかんせん、ロングストレートの洗髪やドライヤーの電力代は侮れません。
2LDKなら3部屋分の冷暖房もありますし。
1万7500円から節約頑張って1万円と考えました。

日用品は、まあ一人暮らしで節約するとして5000円から3000円に減額可能かと。

交通費はうーん、上記の収入には会社支給の交通費も含んでいますので、ここから通勤費をだして、やはり月5000円でしょうか。

被服費は、これは女性の見栄によりますからね…。

凪はトラッドな服でないとイケナイのでユニクロとかでは揃えにくいタイプの服ですし。
それから、横山さんの挙げた費目に化粧品代はないので(男性だからでしょうか)、デパートコスメ代もここに含めておきます。
それから、ストレートパーマなど美容院代もここに入れます。
すると…7500円どころか3万円あっても足りるかどうか…だと思います。

で。
どうしても削れないのが母への仕送り3万円。

生命保険、教育、酒・たばこをゼロだとして、これまでの支出の合計は23万500円。

娯楽費とかその他という費目抜きで、余ったお金を全部貯蓄に回すとして1万9500円…。

住居費 120000
食費 20000
水道光熱費 10000
通信費 5000
日用品代 3000
医療費 2500
交通費 5000
被服費 30000
交際費 5000
仕送り 30000
預貯金 19500
250000

ものっすごい綱渡りな家計ですし、普通はナイ可能性が高いとはいえ、フィクションとして全く成り立たないかというとそうでもない。

とーっても絶妙なリアリティです。

4.やっぱり凪は「お暇」すべき、物語の必然性に思い至る

家賃や仕送り、見栄のための交際費や被服費を考えると、かなりギリギリの家計です。

それに教育費もゼロ円です。
横山さんや多くのFPが仰いますが、自分への自己投資としての教育費はかけるべきです。

それに、老後資金とかどーすんの?という感じです。
凪は、エリートの彼氏(モラハラ男だけど)との結婚を考えていたようですが。

もし独身だったり、それほど収入の多くない相手と結婚したりするとして。
老後資金を貯めるには…。
2019年に金融庁のレポートで話題となった2000万、一人分で単純に1000万円老後資金が必要だとします(独身でも必ずしも半分とは限らないですが)

全く運用せず、単純に勤続年数で割ると。
22歳から65歳までの定年まで月に2万円弱の貯蓄が必要です。
これだけだと、なんとか月19500円の貯金で帳尻は合うのですが。

一人暮らしは割高なので、2000万円の半分より多めに考えた方がいいです。

それに。
病気やケガ、その他不意の出費は考えていません。

医療保険が不要かどうかの決め手に、それ用の十分な貯蓄があるかどうかという点が挙げられます。

当サイトでも記事にしました。
【医療保険はいらない?不要論を信じていいのか徹底検証】


凪の場合も、格安の医療保険に入るか、医療に充てるための貯蓄を別途すべきです。

凪が「お暇」するまでの家計を考えると、おちおち病気にもかかれない、これ以上の自己成長もなく、何の潤いもない生活しかありません。

数字の最低限の帳尻はあってはいますが、これだけカツカツの生活を「安定している」とは到底言えないし、するべきだと思えません。

身の丈に合った家賃に住めば、6~7万円、毒親への仕送りを止めれば3万円、月の出費が減らせます。

だ・か・ら。
凪は「お暇」をして人生をリセットすべきだと思うのです。
精神面だけでなく、金銭面でも。

まとめ

「自分探し」ストーリーってテレビドラマや小説でたーくさんあります。

「人生の表面的な成功に倦み疲れて、人生の真理を求めて人生を変えた」って話なら、「お釈迦様の出家」だって、元ネタですよねw

「凪のお暇」がリアルに感じられる原因の一つは。
「凪のお暇」の登場人物たちが、「よくある自分探し」モノを皮肉ったり茶化したりして、既存のストーリーに回収されるのを防いでいるのもあるでしょう。

それに加え、そしてそれ以上に地味に重要なのが。
金銭的にもリアルだからだと思います。

具体的に金額を上げて検証したのは上記の通りです。
ここまで具体的でなくても、「都心の2LDK」と「月3万円の仕送り」が金銭的に負担なのは、漠然と想像つくと思います。

このままの生活だと、見栄のために、精神面だけでなく金銭面でも失ってしまうものは大きいです。

いったい誰に対して何のための見栄なのか…?
(毒母に?同僚に?彼氏に?それとも、自分自身に?)
凪がお暇を得て人生を見直すストーリーには、きちんとした必然性があるのだと思います。

FP的には、月収が10万くらい下がる転職でもアリかもしれない、と申し添えておきましょうw

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